ボロボロの私の手を引き、『乱歩』という人に断りを入れた。……敬語を使っている。この女性の上司に当たる人なのだろうか。
乱歩さんは一瞬強ばった表情をしたが、すぐに何事も無かったかのように許可をした。医務室のような場所でシャワーを浴び、先程できた傷に絆創膏を貼ってくれた。
とても有難いし、助かった。心優しく、まさに私の目指すべき人だった。でもすぐに出ないといけない。一瞬見えた表札には『武装探偵社』と。そう書かれてあった。武装探偵社は名だけではあるが、噂で聞いたことがある。森さんのお知り合いがいるところだ。ここはまずい、見つかってしまう。私はまだ、死ぬ訳にはいかないのに。
女性が部屋を出た一瞬の隙をついて窓から飛び降りた。すぐに路地裏に入って、武装探偵社があるビルからなるべく遠くに逃げようと、走り出した。
クソ、隙をつかれた。アタシが拾ってきた子は、窓から逃げていた。
ふいに、乱歩さんの語気が弱々しく萎んで行く。いつもの猫のような顔から一転、信じ難いものを見たような、真剣な表情になる。
それは、もう捜索が打ち切られ、望み薄な__真逆生きていたとは。しかもポートマフィアで。
乱歩さんと一緒に捜索をし、2日後、あの子は袋小路で見つかった。乱歩さんの推理があっても、2日も時間がかかってしまった。
真逆また再会するとはとでも言わんばかりに目を大きくして、開いた口が塞がっていない。見つかってしまったショックかは分からないが、力が抜けたようにその場にへたり込んでしまった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。