第34話

目指すべき人間
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2025/05/23 11:00 更新
女性
乱歩さん!此奴入れていいかい?!
 ボロボロの私の手を引き、『乱歩』という人に断りを入れた。……敬語を使っている。この女性の上司に当たる人なのだろうか。
江戸川
え?……あー。任せるよー
女性
有難う!
 乱歩さんは一瞬強ばった表情をしたが、すぐに何事も無かったかのように許可をした。医務室のような場所でシャワーを浴び、先程できた傷に絆創膏を貼ってくれた。
 とても有難いし、助かった。心優しく、まさに私の目指すべき人だった。でもすぐに出ないといけない。一瞬見えた表札には『武装探偵社』と。そう書かれてあった。武装探偵社は名だけではあるが、噂で聞いたことがある。森さんのお知り合いがいるところだ。ここはまずい、見つかってしまう。私はまだ、死ぬ訳にはいかないのに。
 
女性
茶取ってくるからそこで待ってな
 女性が部屋を出た一瞬の隙をついて窓から飛び降りた。すぐに路地裏に入って、武装探偵社があるビルからなるべく遠くに逃げようと、走り出した。
 クソ、隙をつかれた。アタシが拾ってきた子は、窓から逃げていた。
与謝野 晶子
いない?!どこ行ったんだ彼奴!乱歩さん!先刻アタシが連れてきた子どこにいったか知っているかい?!
江戸川
焦んなくても。放っておけばいいんじゃなーい?あの子ポートマフィアだよ。
与謝野 晶子
ポートマフィア!?
江戸川
だって、身のこなし方から常人と違うもん。荒削りだけど、相当長くやってるはずだ。それに、あの子の上着にある微かな火薬と血の匂い。あれはポートマ……
 ふいに、乱歩さんの語気が弱々しく萎んで行く。いつもの猫のような顔から一転、信じ難いものを見たような、真剣な表情になる。
江戸川
いや、……10年前、ヨコハマ屋敷殺人事件の被害者の一人娘だ。
 それは、もう捜索が打ち切られ、望み薄な__真逆生きていたとは。しかもポートマフィアで。
与謝野 晶子
嘘だろう…?
江戸川
……すぐに連れ戻そう。
 乱歩さんと一緒に捜索をし、2日後、あの子は袋小路で見つかった。乱歩さんの推理があっても、2日も時間がかかってしまった。
与謝野 晶子
見つけた…!
風和
っえ…!?
 真逆また再会するとはとでも言わんばかりに目を大きくして、開いた口が塞がっていない。見つかってしまったショックかは分からないが、力が抜けたようにその場にへたり込んでしまった。

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