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第1話

‪‪‬𝚅𝙰𝙻𝙴𝙽𝚃𝙸𝙽𝙴’𝚂 𝙳𝙰𝚈
34
2024/02/13 22:00
少々腐要素有り



注意すべし








とある本丸でのこと
山姥切国広は、考えた。
普通に渡すのではつまらない、と。
考えた末に思いついてしまった。
さんたくろおすみたいにしたら面白いのでは、と。

また別の本丸の山姥切国広は考えた。
初期から仲間として、主を支えてきた初鍛刀に日頃の礼を伝えたい、と。

さらに別の本丸の山姥切国広は考えた。
どうにかして好きな相手にちょこれえとを渡したい、と。



今日はそんな山姥切国広達のお話である。


一振目
今日は天気が良い。洗濯もよく乾くだろう。
ばれんたいんでえの一日前。俺は素晴らしいことを思いついた。
そう、季節外れのさんたくろおすだ!
例年通り、ちょこれえとは堀川の兄弟と一緒に作ることになるだろう。であれば、兄弟を驚かすことが出来ない!だからこそ、兄弟が寝静まった夜中にちょこれえとを枕元に置くんだ。誤魔化せるように俺の枕元にも箱だけ置いて、兄弟にはちゃんと中身を入れる。
うん、我ながら完璧だな。
「兄弟!早速作ろう。今年はガトーショコラかな〜」
「堀川の兄弟。早いな。準備を手伝おう」
「うんうん、山姥切の兄弟はいい子だね!じゃあ、チョコレートを沢山買ってきてくれるかな?僕としたことが、買い忘れちゃってて…」
「ああ、任せてくれ」
昨日買い物に行った時に買い忘れていることを言わなくてよかった。
これで兄弟達用の箱を買うことが出来るからな。
主に万屋へ行くことを伝え、ゲートを潜る。
「何処も彼処も審神者や男士で溢れかえってるな…」
ばれんたいんでえだから、ちょこれえとを売っているところが多い。だが…最悪の場合製菓用のちょこれえとが無くなってしまうだろう。急いで買おう。


二振目


朝日が眩しい。
いつも世話になっている礼を…と考え初めて一週間が経った今日この日。ばれんたいんでえになってしまった。
ただあいつは甘いのが大好きだから、甘いのを作ろうとだけは決まっていたんだが…
特になったら渡される端末で、菓子の意味を調べていると色々な内容が出てきて、どれにするか悩みに悩んでしまっていた。
「あ、これなら…」
情報の海の中で見つけたのはキャラメル。「安心する存在」や「あなたと一緒にいると安心します」という意味が込められているらしい。
…今から作り始めても間に合うだろうか。__いや、間に合わせてみせる。どうせならばちょこれえとキャラメルにしよう。
「そうと決まれば、早速買い物に行こう」
材料は… スイートちょこれえと、グラニュー糖、生クリィ厶、水あめ、ココアパウダァか。
兄弟の分は事前に作っておいて正解だったな…二種類作るとなると間に合わなかったかもしれない。

今日は皆非番だし…主はまだ寝ているだろうな。部屋に書き置きを残しておけば良いか。
万屋が早朝から空いているところでよかった。


三振目

今日はバレンタインだ。あいつだけじゃなく、短刀達や兄弟、兼さんに主の分も用意した。
これならば絶対にバレることは無いだろう。
あとは平然を装って渡すだけ…なんだが、どうやって渡せばいいんだ?
「いつもの礼だ…?これ、やる…?」
どれも違う気がする。普段相談に乗ってもらっている兄弟にもこれは話せない。何故ならばあいつの事を好いていると誰にも教えていないから!!
ぐるぐると思考ばかりが巡り、目が回ってくる。
やはり写しなどから渡されるのは迷惑だろうか。俺が写しだから受け取って貰えなかったらどうしよう。
「うぅぅ……」
いつもあいつと会う場所…の近くの柱の影。隠れながら様子を伺うが、まだ来ていない。
うぅ…やはりやめて…「なぜそこで立ち往生している。そら、行くぞ」!?!??!?
「か、伽羅!?」
「…煩い。お前が俺に気付かないのは珍しいな。そんなにソワソワしているのも」
「そ、れは…その…」
ど、どどどどうする俺。落ち着け、このまま箱を押し付けて直ぐに去ろう。そうしよう。
「こ、これ、やる。じゃあなっ!」
「は?…あっ、おい!」

一振目
ふっふっふ…兄弟からの視線をかいくぐり、ようやく!やっとのことで兄弟が寝た!!!
よく頑張った俺!このまま寝てしまうかと思った!
さて…足音を立てないように…一先ず厨房へ行こう。
「ん…」
「っ!?!?」ギッ
あ、あぶない…音が少し鳴ってしまった…
だが寝ているようで何よりだ。昨日から練習し始めた無音襖開けを披露し、足早に部屋から離れる。
…よし。あとはちょこれえとを兄弟の枕元に置くだけ!
そっっと枕元に置いて………みっしょんこんぷりいと!!
うん、俺も寝よう。
「…おやすみ、兄弟。いつもありがとう。」

二振目
ちょこきゃらめるを完成させ、いよいよ渡しにいかなければならない。
だがなんと言って渡す?
普通に普段の礼だと言って渡せばいいのか?
「切国の旦那。俺っちになにか渡すもんはねぇのか?」
「ミ゚ッッッッ!?!?」
思わず飛び跳ねてしまう。
…びっくりした。
というか、なにか渡すものって…バレているのか!?!?
「ふっふっふ、不思議そうな顔をしているな?」
「それは、そうだろう。あんた、急に現れるのをやめろと何度も言っただろう?」
「おっと、悪ぃ悪ぃ。だが…切国が早くくれないのが悪いんだぜ?」
他の短刀達には渡してたのに、と拗ね気味な薬研にバレてはいなかったのかと安心する。
「すまないな。あんたにどうあげるか考えていたら時間が過ぎていた。…そら。菓子だ。」
「!!…うん、ありがとな。」
よし、渡せた。
これで良いのだろうか。だがまあ渡せたし、何も付け加えなくても…うん。
「ほわいとでえは楽しみにしてるぞ。」
「ああ。俺っちに任せとけ。」
言えた!!!退避!!!!!!
極短刀には劣るものの、自慢の機動力でその場を去る。
明日本霊から収集がかかるだろうし、早く寝よう。明後日の朝日を見ることになるからな。

三振目
わ、渡せた…!!
未だに心臓がバクバク鳴ってて、顔が熱い…
まだ極めてなくてよかった…布最高…

んん…ここ最近働き詰めだったのも相まって眠気が…
少し寝ておくべきか…?
「ふ、ぁ…」
……うん。寝よう。

布団を敷き、横になる。
「…おい。寝ているのか?」
「!?!?!?!?」
こ、こいつは驚いた。鶴丸風になるぐらいには驚いた。
伽羅じゃないか…俺だけが気まずくなる…
「入るぞ。」
「えっあっど、どどうぞ…」
襖が静かに開き、俺に好かれてしまった奴が見える。
写しなんぞに好かれて不憫だな。…まぁ、俺のせいだが。
「また余計なことを考えているな?」
「や、ちが…」
「まぁいい。…そら、チョコレートだ。くれてやる。お前からももらえるとは思ってなかった」
急なことで驚いて、渡し損ねた。というこいつに、驚きが隠せない。
俺の表情筋をフル活用していると思う。
…って違う。お礼を言わないと…
「それだけだ。じゃあな」
「あっ、待って!」
踵を返した伽羅の腰布を掴み、なんとか引き止めるも言葉がなかなか出てこない。
どうしよう。早く言わないと伽羅が立ち去ってしまう。だがなんと言えば…
「はぁ……落ち着け。俺はここに居るから、ちゃんと最後まで聞いてやる」
…ああ。初対面でも言われた言葉だ。懐かしい。
次の言葉は、
「「ほら、深呼吸」」
だった。
お互いに見つめ合い、笑みを交わす。
「なぁ、伽羅。チョコレートありがとう。凄く嬉しい」
「…ああ。」
「大事に食べる」
「腐る前に食えよ」
「うん」
恋仲にはなれなくとも、こいつとこうやって笑い合うことが出来たならば…俺は満足だ。写しには過ぎた幸せだな…




あとがき
いやぁ…くっそほど焦りましたね。夜中までぱーりないしてたらいつの間にか日付が変わって1時半でした。びっくり。2月14日の気分でいたので1日遅れてしまったと落ち込むところでした。
後日譚も頑張って書きたい………頑張ります………




というかなんでこんな分ける必要あったんだろ…何考えてるかわからんわ…
時間指定って、良いよな

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