――保科宗四郎 視点
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正直に言えば。
あの人が、ヘリから飛び降りた瞬間、
僕は一瞬、思考が止まった。
隊長としても、
日本防衛隊最強クラスの男としても、
鳴海弦は“絶対にやらない選択”を選んだ。
だからこそ――
僕は分かった。
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地上。
砂塵の向こうに、
二つの影が並んで立っている。
鳴海弦と、鳴海あなたの下の名前。
剣を構える角度。
重心の置き方。
呼吸の間。
――そっくりや。
思わず、呟く。
けど、決定的に違う。
あなたの下の名前ちゃんの剣は、
“守るために振るわれる剣”。
鳴海隊長の剣は、
“終わらせるための剣”。
その二つが、
今――同じ方向を向いている。
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怪獣が吠える。
次の瞬間、
二人が同時に踏み出した。
速い。
いや、速すぎる。
副隊長として、
何百人もの隊員を見てきた。
でも、
“親の背中を追う剣”を
ここまで研ぎ澄ませた子は、
見たことがない。
鳴海隊長は、叫ばない。
指示もしない。
ただ――
半歩前を走る。
それだけ。
あなたの下の名前ちゃんは、
迷わずその背中を追う。
それが、
どれほど信頼してないとできないことか。
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一瞬。
怪獣の尾が、
あなたの下の名前ちゃんを捉えかけた。
僕は、声を上げかけた。
でも。
鳴海隊長が、
体ごと割り込んだ。
剣で受ける。
盾も、防具も、無視して。
口ではそう言った。
でも、胸の奥が、
ひどく痛んだ。
あの人、
自分が斬られることより――
娘が斬られる可能性を
一切、考慮してない。
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鳴海が、初めて名前を呼ぶ。
それは、
指示でも、命令でもない。
ただの――
父親の声や。
あなたの下の名前ちゃんが、
一瞬だけ、頷く。
霞双牙が、
空気を切り裂いた。
美しい剣筋。
無駄がない。
恐れがない。
鳴海の剣を、
そのまま“別の形”にしたような一太刀。
怪獣の核が、
真っ二つに割れる。
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静寂。
砂埃が、
ゆっくりと落ちる。
勝利。
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僕は、
気づいてしまった。
鳴海弦は、
あなたの下の名前ちゃんを
“最強の隊員”として育てたんやない。
無線越しに、
誰かが言う。
僕は、苦笑した。
ヘリの中で、
誰にも聞こえんように、呟く。
視線の先には、
剣を下ろし、
小さく息をつくあなたの下の名前ちゃん。
その隣に立つ、鳴海弦。
一拍。
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地上。
鳴海隊長は、
あなたの下の名前ちゃんの肩に、そっと手を置く。
言葉は、ない。
それでも。
あなたの下の名前ちゃんは、
振り払わなかった。
その背中を見て、
僕は確信した。
この戦いで一番強かったのは――
剣でも、怪獣でもない。
**“守ると決めた男の覚悟”**や。
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第六話・了














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。