光「いや〜先輩が料理上手でマジ助かったッス!
さっきまで兄ちゃんとやってたんすけど
オレ料理苦手でちょっと失敗しちまって!」
『……”ちょっと”…?』
調理台の上には、まな板に突き刺さった包丁に
明らかにドーナツではない黒い何か。
鍋からはおかしな湯気が起っている
か、家庭科室が壊れる…
光「八尋センパイにも声かけようと思ったんすけど、部活忙しそうだったんで」
『なるほどね。
じゃあ…取り敢えず掃除かな…』
調理台の上がこれでは、まともに料理出来ないので
先に掃除をする事にした。
光「あ、掃除のこと
花子にはオレが上手く言っといたッス!」
『うん、ありがと』
『でもなんで急にドーナツを?』
光「んっ……い、いやぁ〜…」
光「い、妹が…オレ妹がいるんスけどっ
その妹が急に“ドーナツ”が食べたいって
駄々こね始めて…ウチの台所じゃ作りづらいんでここ借りて…」
『へー』
光「突然すみませんッス!」
『ううん平気』
『むしろ、ちょっと助かったよ…
最近ちょっと花子くんと顔合わせずらくて…』
『あ、別に喧嘩したとかじゃないんだけど
ただちょっと気まずいって言うか…』
無意識に、生地を混ぜる手が速くなる
光「待った
混ぜるときはこう…」
光はヘラを持つあなたの手の上から被せるように
ヘラを持つ
『!』
レシピを見ると、さっくりと切るように混ぜましょうと書いてあった。
本当だ…
あれ?料理苦手なんじゃ…
光「しんどい時もありますよね
オレも最初から見えてたんで分かります
怪異が見える事に慣れてもやってらんねーって
時あるし…」
光「俺でよけりゃグチでもなんでも聞きますよ!
頼りねーかもしんねえけど
オレは先輩達の味方ッスから!」
ヘラ、と笑う光
『光くん…』
『うん…ありがとう。
でも…ちょっと…近くない…?』
光は、背中からあなたにぴったりくっついている
それに気づいた光は、顔を真っ赤にして慌てて離れる
光「すっすすすすんません!!
違っ…妹と作る時のクセで変な意味は」
突然走り出し、ゴミ袋に突っ込んでいった。
『おぉ…大丈夫?……そうだね、
折角だし、聞いてもらおうかな…いい?』
光「は、ハイッ!!」
光「なるほど…16時の書庫でそんなことが…
アイツ…昔ここの生徒だったんスね」
『光くん、私…もしかしたら…
もう花子くんと仲良くしない方がいいのかもしれない』
光「!」
『だって、花子くんって死んでるんだよ!?
いやまぁ妖怪なら家に大量に居るんだけど!!(』
光「そっ、そッスね」
二人が片手でドーナツを作りながらそんな事を話す
傍から見れば中々カオスである
『悪霊!七不思議!人殺し!
三拍子揃っちゃってんの!!』
『誰かに虐められてたみたいだったし…
その相手をざっくり殺っちゃったのかも…』
『なんかラントも花子君と関わるのが反対だとか
どうとか言ってたし(』
『前々から掴みどころがなくてちょっと怖いとこもあったけど、思ってた以上に重いし面倒くさい』
『もうどう接するのがだ正しいのか
分かんないんだけど…』
光「せ、先輩元気だして…」
ズーン…と沈んでいると、光が慰めてくれた
『でもね、なんかほっとけなくて
深入りしない方がいい事は分かってるけど
花子くんのこともっと知りたい』
『私にできる事なんて無いかもしれないけど
でも、花子くんの力になってあげたい』
『花子くんが幽霊でも人殺しでも私からしたら関係ない』
『こんな風に考えちゃうの、光くんは変だと思う…?』
自傷気味に言うあなたに光は思いがけぬ言葉をかけた
光「オレも一緒ッス!」
あなたと目を合わせ、ニ、と笑う
光「オレも実は迷ってたんです
アイツを祓うか祓わないか
どうするのが正しいのかって
今は…とりあえず何が正しいかってより
オレがどうしたいかで決めようと思ってます」
光「どうしたらいいかわかんねぇ同士…
オレ達やっぱ仲間ッスね
一緒に頑張りましょう!」
『うん…!』
光「よォ〜っし完っ成!!」
『外はさくさく、中はしっとり
ちょっと硬めのドーナツ!』
二人は目を輝かせ、ごくり…と喉を鳴らした
光「うまそー…」
『そんなに上手くできたの初めてかも…』
光「んじゃ、早速味見ってことで
いっただきま____」
パコンッ
そんな乾いた音が聞こえ、光の方を見ると
クリップボードで頭を叩かれた光の後ろに
叩いた張本人であろう源輝が居た。
光「にっ、兄ちゃん!!!」
『源会長?』
輝「その材料は誰が買ってやったんだっけ?
お兄ちゃん抜きで食べ始める気だったのかな光〜」
輝にヘッドロックされる光。
顔を青くして泡を吹いている
光「うごご…」
『源会長、それ光くん死にます』
輝「やああなた!
あなたもドーナツ作り?
って事はこれはあなたの手作りドーナツ…!?(」
『光くんと一緒に作ったので
光くんと私の手作りドーナツです(
光くんに料理苦手だから手伝って欲しいと頼まれて…』
輝「え?
光は料理じょ(光「あーっ兄ちゃんほらドーナツ食うか!?」ウッ」
何か言おうとした輝の口にドーナツを突っ込む光
そして風のような速さで、
ドーナツをいくつかの袋に詰める光
光「先輩!これ!!
これって確か、アイツの好物ッスよね
食わせてやったら喜びますよ」
光「酒呑先輩と霧隠先輩の分はこっちッス!」
輝「光、人の口にドーナツを突っ込むのは」
光「どうした兄ちゃんおかわりか!?」
またも口にドーナツを突っ込まれる輝
『…うん、私花子くんのとこ行ってくる!』
光「行ってらっしゃい!」
『あっ、そうだ
ドーナツ作り誘ってくれたのって
私と花子くんのためだったんだよね?
ありがと光くん!』
光「うッ……(絶命)」←
輝「誰が料理苦手だって?」
光「兄ちゃん!!」
輝「うちの家事は全部お前がやってるくせに」
輝「まぁ僕が手伝うと、さっきみたいに
グチャグチャになっちゃうからだけど」
光「輝兄って生活力だけないよな…」
輝「今回のであなたが料理上手ってことが分かったね
これで僕とあなたは何時でも結婚できる(」
光「え?(」
輝「で、なんで急にドーナツだったの?」
光「さ、さあな〜(花子にやるとか言えねー)」
輝「光ってあなたの事好きなの?」
光「なっ…ちち違っ」
輝「まぁ光でも譲らないけど」
光「……俺だって…」
「あら」
「ちゃんとできた?」
本を開いている少女の手に乗っかるもっけ
少女にそう聞かれ、耳で丸を作る
「……そう。いい子ね」













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!