第3話

3通目
63
2018/03/23 09:28
明後日で退院出来る。
今日も暇な1日だが、それもあとほんの少しの辛抱だ。
水を飲んでいると、看護師さんがまたあの手紙を持ってきてくれた。
あなた

今日は……?

あなた様

あと少しで退院だとお聞きしました。
記憶は戻りましたか?
戻っていたら、嬉しいです。
今日は短かった。
それに、昨日より文字が少し荒々しい。
荒々しいというか………
あなた

………震えてるように見える

何故だろうか。
このとき私には記憶も何も無いのに、顔も名前も知らないこの手紙を書いた人のことを心配に思った。
この人は一体どうしているだろうか。
この人の顔はどんな顔だろうか。
この人の声はどんな声だろうか。
全てが、気になった。
医師
この手紙を書いた人がどんな人か知りたい?
あなた

はい。どうしても知りたいんです。
知りたいというか……知るべきだと思うんです

受付
その手紙を書いた人は……現在隣の市の病院にいらっしゃるそうで、知り合いがよく彼と共に来ますよ
あなた

本当ですか?
じゃあ退院したらそこに-

受付
行けば会えるかもしれませんね。
……もしかして恋仲だったりします?
受付の人は、意地悪そうな笑顔を浮かべあなたに聞く。
あなた

まさか。
名前も顔も声も知らない人と付き合うなんて有り得ませんよ

受付
それもそうですね。
……でも-
受付
早く会いに行った方がいいと思います。
彼、顔色良くなかったんです
少し言いにくそうに受付の人は言った。
私の心にヒビが入った。
あなた

……長くないってことですかね

受付
おそらくね。
だからあなたさん、退院したらすぐに隣の市の病院へ向かいなさい。
あなた

…わかりました

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