第5話

任務
65
2026/03/16 12:00 更新
 横浜市内某所にて、

 男達と華奢な女が1ヶ所に集まっていた。


 そこはポートマフィアと対立する組織の拠点である

 建物の一つだった。


 華奢な女はその藍色の髪を揺らしながら、

 凛とした声で自分より体格の良い黒い服を纏った男達に

 指示している。
あなた
今の様子は?
黒服
内部に30人、見張りに5人。
共に動きなしです。
あなた
そうか
 その報告を受けた女は一瞬考える素振りを見せたあと、

 また直ぐに男達に指令を飛ばす。
あなた
見張りから2人、内部から5人は捕まえろ。
その他はできる限りで良い。
尾崎幹部に引き渡す。
黒服
はっ
 男達は女の声に従い、体勢を整える。


 二人の男が見張り達に襲いかかり、

 指令通りにまず2人捕まえる。


 それからまた2人を捕まえ、

 最後の1人は、“人だったモノ”と化した。
 

 女が先頭に立ち、

 その体に似合わぬ大きさの、

 己の背丈よりも大きい鎚を構える。


 その後ろから男達が銃を構え、斉射準備をする。


 女が鎚を振り下ろすとバキッという音と共に扉が砕け、

 拠点内に飛び込んでいく。


 それに続いて黒服が突入する。


 無論、招かれざる客に向かって

 無数の銃弾による歓迎が浴びせられる。


 しかし、女は身を翻して弾の隙間を縫い、

 風の如く駆け抜ける。


 それでも掠めそうになる弾は、

 鋼鉄のピアノ線で切り裂いていく。


 そして男達もまた、銃弾の雨を浴びせる。


 勿論、先を駆けていく女に当ててしまわないように。


 銃弾での応酬が展開される中、

 女は建物内にいた者たちの中で

 最も位の高そうな男に詰め寄り、

 袖に潜ませていたナイフを突き付けた。
あなた
暴れるな。もし暴れようものなら命は無いと思え。
ックソがッ
 男は尚も勝てると思っているのか、

 右の拳を握り、女に向けて放つ。


 しかし、少し怯んでしまったが故か男の動きは遅く、

 女はそれを受ける前に左脚を高く振り上げる。


 それが男の腕に直撃し、ゴキッという嫌な音がした。
 急な激痛に床に転がった男を手早く拘束する。


 そのまま黒服に運ばせ、女は一人、

 車に乗って報告の為、本部ビルに向かった。


 その時、女の金の瞳は暗い闇に沈んでいた。
尾崎紅葉
ほう。その任、引き受けよう。可愛いあなたの頼みじゃしのぉ
あなた
感謝致します、尾崎幹部。
 クスクスと上品に笑う尾崎幹部を尻目に、席を立つ。

 お茶会、と云う名目で報告及び依頼をしていたからだ。
尾崎紅葉
堅苦しいのお。
もう少し愛らしくしても良かろうに。
あなた
…癖ですので。これにて失礼致します。
 尾崎幹部がいくら可愛がってくれようとも、

 私は仮初の幹部なのだから。


 どうせ私は、元上司の代わりなのだから。


 対等に、などとは考えられない…否、考えてはいけない。


 補佐のくせに、勘違いをしてはいけない。
尾崎紅葉
そうじゃ、代わりにーーーーーーーーー

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