「ところで君、名前なんて言うの?」
「私は、〝空野叶そらのかなえ〟!!」
「そっか!良い名前だね!!」
「ありがと!!お兄さんは!?」
「俺は〝網田謎留〟!!」
霧河はここで、本名を名乗った。
「分かった!!じゃあ、名前、覚えとくね!!」
「ありがとう!!じゃあ、また来年来るね!!」
「うん!!お兄さん、頑張ってね!!」
「うん!!君も頑張ってね!!おやすみなさい!!」
女の子が手を振り、
「元気でね~!!」と言った。
霧河は叶の家を出た。家を出た後、
入ってきた時と同じ〝サムターン回し〟で
外側からカギをかける。
霧河の活動はもちろん、まだ続いていた。が、
叶は、再び眠った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。