ー翌朝in教室ー
さっきまで騒がしかった教室が、
一瞬の内に静かになる
そして、予想外の言葉が返ってきた
その言葉で、何か込み上げてくるものがあった
また、泣いた()
私が泣くと、みんながわちゃわちゃしていて、
それが面白くて泣き止んだ
ー放課後in屋上ー
私は、屋上で1人で伸びをした
すると、キィ…と音がして、
屋上のドアが開いた
いや気まずッ()
そう言って、慣れた手つきで自分の尻尾から火をつけ、
タバコを吸い始めた
暫くして、気になった事があった
じっとイフリート先生を見つめていたのがバレたのか、
理由を訊かれた
私はそう言って、自分の腕を差し出した
しかも、きっちり腕まくりをして、
素肌を見せて
さっきまで不思議そうな顔をしていたイフリート先生が、
「びっくりした」では表せれないような、
酷く歪んだ顔をしていた
こっちが混乱してくる
なんで?私に押し付けるのが普通じゃないの?
なんで?
なんで?
母がヒステリックなのも普通で
父がお酒を飲んだ後に暴力を振るうのも普通で
上下関係があるのも普通で
両親が見た事もない異性を家に入れるのも普通で
兄に“そういう目”で見られるのも普通で
挙げ句の果てには、飽きられた玩具を捨てるような扱いをする
私を、いない“物”として認識をする
みんなの普通って…
なんなの?
私がイフリート先生の記憶を消そうとすると、
先生は私の肩を掴んだ
イフリート先生は、何処か悲しそうな顔をしていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!