第59話

〔長尾謙杜〕甘々の日
10,318
2020/08/15 10:04


『謙杜くん!!いい加減暑いから離れて…!!』



「いーやーだ!!絶対離れへん!!」



『もぉ~!これじゃ何も出来ないやん…!』



「いーの!今日はこのままず~っとあなたちゃんといちゃいちゃするのっ…!」




夏休み。



今日は彼女のあなたちゃんと、ずーっと前から約束していたお家デートの日。



クーラーの効いた涼しい部屋で、テレビを見ていたあなたちゃんにくっつき始めて、そろそろ1時間。



さっきからあなたちゃんは"離れて"って、そう言ってくるけれど



僕が隙を与えても、自分からはなかなか離れて行こうとしないから



あなたちゃんだって、少なくともこの状況は満更でもないようで。



僕がぎゅーっと、あなたちゃんに抱きつけば



『ふふ、どうしたん?今日は甘えたさんの日なの?』



なんて、そう言いながら優しく抱き締め返してくれる。



でもな?



あなたちゃん、1番大事なこと忘れてる。




「ねぇ、あなたちゃん。今日さ、8月15日だよね?」



『うん、そうだよ?それがどうしたの?』



「…んーん、なんでもない。」



8月15日。



つまり今日は、僕の18歳の誕生日。



『謙杜くん…?』



だけどまだ、あなたちゃんからは"おめでとう"って言われてない。



別に怒ってるとか、そういう訳じゃないけれど



やっぱり、1番大好きな人に祝って貰えないのは寂しいなぁ。



なんて少し不貞腐れながら



ぎゅっと、僕があなたちゃんを抱き締める力を強くすると…




『ふふ、やっぱり謙杜くん拗ねてたんでしょ?笑』



「へっ、?」



なんて、なんだかちょっと嬉しそうにそう言うあなたちゃん。



『私だって、ちゃんとわかってるよ?今日が謙杜くんの誕生日だって。』



「…えっ、!覚えててくれたん…!?」



『当たり前でしょ?大好きな人の誕生日だもん、忘れるはずないじゃん。』



「で、でもさっきは…!」



『それは謙杜くんの反応が可愛かったから、ちょっとからかっただけ。笑 あ、そうだ!プレゼント、持ってくるね!』



そう言いながら、プレゼントを取りに行くあなたちゃん。



『はい、これ!謙杜くんお誕生日おめでとう!』



「ありがとう!開けてもええ?」



『うん。開けてみて!』




あなたちゃんからの誕生日プレゼント。



貰えただけでも、凄く嬉しかったのに




「え、これ…。本当に僕が貰っちゃってええの…?」



『もちろん。笑 だって、謙杜くんずっと欲しいって言ってたでしょ?だから私からのプレゼント!』



中を開けてみると、入っていたのは僕がずーっと欲しくてたまらなかった、スニーカーで。



「あーもー!好きや、あなたちゃん!!」



『えっ、わぁっ、謙杜くん…!』



僕は、あなたちゃんをぐいーっと自分の方へと引き寄せて



そのまま優しく包み込む。



「ほんまにありがとう。めっちゃ嬉しい。」



『ふふ、うん。笑 喜んで貰えて良かった。』



「当たり前やん。どんなものだって、あなたちゃんからのプレゼントが1番嬉しいもん。」



「ねぇ、あなたちゃん。」



『ん??』



「大好き。他の誰よりも、1番あなたちゃんのこと。」



『私も。謙杜くんが1番好き。』




なんてそう言って



僕たちは、甘くて優しいキスをする。



「あなたちゃん、祝ってくれてありがとう。」




これからも、大好きなあなたちゃんと



ずーっと一緒に居られますように。






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謙杜くん

*+.Happy Birthday.+*





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