第51話

💚もう、どこにも行かない
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2025/11/20 15:00 更新






夜。

ジョングクの家の前で、

僕は少しだけ息を整えた。

昼間あけたピアスが、

まだほんのり熱をもっている。

玄関のカードキーをかざすと、

高い電子音と一緒に、

ドアが静かに開いた。



v「……ただいま」



部屋の奥から、

ジョングクが顔を出した。

黒のTシャツにスウェット。

少し濡れた髪の先から、

シャンプーの香りが漂ってくる。

その姿を見ただけで、

胸が締めつけられる。



jk「おかえり」



その一言が、

あたたかくて、やさしくて、

僕の中の何かを溶かしていく。



ジョングクが手を伸ばし、

僕を抱き寄せた。

ピアスが触れ合って、

カチ、と小さな音がした。



jk「……開けたんだ」



囁く声が、

耳のすぐそばで震えた。



僕は少しだけジョングクの胸に

顔を埋めながら、

静かに答えた。



v「うん。ジョングクに、
 僕の全部あげたかったから」



ジョングクの指先が、

そっと僕の耳を撫でた。

熱を帯びたその場所が、

心臓と繋がってるように脈打つ。



jk「痛くなかった?」

v「痛かった。でも、嬉しかった」



僕は顔を上げて、

ジョングクの瞳をまっすぐ見た。



v「もう、勝手にいなくならない。
 どこにも行かない。
 ちゃんとここで、
 ジョングクの隣にいる」



その言葉に、

ジョングクの腕の力が

少しだけ強くなる。

何も言わず、ただ抱きしめられて、

その胸の鼓動を聞いた。



jk「……ありがとう」



ジョングクの低い声が、

耳の奥で溶けていく。



そのあと、

二人の間には言葉がいらなかった。

ただ、肌と肌の温度で

確かめ合うように、

静かに、深く、抱き合った。



夜の灯りが落ちる部屋の中で、

世界はこの場所だけになっていた。



そして僕は心の中で、

___もう、どこにも行かない。

そう、もう一度、強く誓った。






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