❤️side
亮平からの突然のお願い。
今までにこんなことはなかったから、学校で何かあったんだろうな、と俺は察した。
部屋に戻ろうとしていた翔太も、足を止め、びっくりした様子で亮平の横に腰をかける。
俺は優しく声をかけ、背中を撫でる。
亮平は肩を震わせ泣き出してしまった。
亮平の目から溢れ出る大粒の涙に、俺も翔太もびっくりで…
翔太も亮平の姿をみて、とっても辛そうで、
俺も、弟がこんなにも苦しんでいるのに。
俺は、今思っていることを言えるだけ言葉にした。
俺たちは久しぶりに、亮平が声をあげて泣くのを聞いた。
俺達も、涙を流しながら、亮平を強く抱きしめた。
亮平は、今までにどれだけの辛さを味わってきたんだろう。
そんなことを考えるだけでも、胸が痛くなった。
俺はとても小さい声で、そう呟いた。
💚side
俺、今まで、学校で倒れてしまうことが何回かあって。
その度にクラスのみんなから冷たい視線を浴びていた。
それがいつも辛かった。
でも、こんなちっぽけなことで大切な兄ちゃんたちの時間を奪うなんてことは絶対にできなかった。
夜に一人で泣いていることも………
こうやって俺のそばに居続けてくれる深澤も、
俺を支えてくれるひとり。
そう言ってお茶目に笑う深澤。
こんな幸せな日々がずっと続けばいいのになぁ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。