第52話

番外編 雀と亀④
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2025/01/10 14:45 更新
某日の昼休み。
僕は昼食のサラダといちごミルクを摂り終えて、いつもの貯水槽の上で脚をふらふらさせながら居座っていた。
その下の屋上の床には、焼きそばパンをたらふく食っていびきをかきながら寝ているあなたの姿もある。幸せそうに仰向けですやすやと寝ているのを見ると、こちらも微笑ましく感じた。
にこにこしながらあなたを見つめていると、下の扉がガチャンと開く音がする。もしやと思い、とっさに貯水槽から飛び降りて入口のほうを見る。
思った通り、鬼頭副会長がいた。
玄彗
玄彗
今度はすぐに姿を現したな
麗志郎
麗志郎
こんな屋上に来る人なんて、僕達二人以外に鬼頭副会長しかいませんから。
麗志郎
麗志郎
それで、今度は何用で?
玄彗
玄彗
お前のお陰で、資料室で作業をするのが可能になった。資料まとめもいつもよりいいペースで進んでいる。
玄彗
玄彗
封印の件もありがとう。
麗志郎
麗志郎
いえいえ。こちらもいい経験を
させていただきました。
玄彗
玄彗
それで本題に入るのだが…、君が資料室を片付けていた時の手際の良さ、丁寧さ、集中力、どれも素晴らしいものだった。
玄彗
玄彗
その技術、
資料係として活かしてみないか?
麗志郎
麗志郎
え、資料係?
意表を突かれて聞き返す。
資料係って…、たしか鬼頭副会長だけでやってたよね。資料室片付ける時にチラッと鬼頭副会長が手を付けてる資料の山を見たけど、まさか今まであれ全部を一人で片してたの?目の下にあるクマや作業机の横に並べられていたいくつかの空の栄養ドリンク。ここまで来たらもうブラック企業で働いているのと同じだ。見るからに絶対人手不足だし…。
しかし、あなたを一人にさせてしまう可能性があることが頭をかすめる。
ヤツが過去に父を事故…いや、死神が起こした事件で失っていることは、一度本人から聞いたことがある。ヤツが目を覚ました時、僕がいなかったらどう思うだろうか。過去のトラウマが掘り返されてしまうだろうか。
………いや、さすがに考えすぎかな。
僕は鬼頭副会長からの頼みを了解した。
麗志郎
麗志郎
僕で良ければ、いいですよ
玄彗
玄彗
さっき何かを悩んでいるようだったが…、無理に承諾しなくて良いんだぞ。
麗志郎
麗志郎
あ、それなんですけど、
少し条件があって。
麗志郎
麗志郎
僕が手伝うのは、昼休み以外の時間でいいですか?僕サボり魔だから、鬼頭副会長が授業中でも資料まとめられると思います。
玄彗
玄彗
ああ、全然構わない。
だが、何故昼休みはできないんだ?
鬼頭副会長が不思議そうに尋ねる。
僕は、鬼頭副会長と僕の横でいびきをかきながら気持ちよさそうに寝ているあなたをちらっと見て微笑し、鬼頭副会長に言った。
麗志郎
麗志郎
昼休みの屋上は、昼寝に最適なんですよ。
玄彗
玄彗
……そうか
鬼頭副会長が少しだけ口の端をあげる。
玄彗
玄彗
鳥養麗志郎、感謝する。
麗志郎
麗志郎
いやいや、今から資料係仲間なんですし、フルネームで呼ばなくていいですよ。
てか呼びづらいっしょ。
玄彗
玄彗
そうか。じゃあ…麗志郎。
改めて頼んだぞ。
麗志郎
麗志郎
はい!
麗志郎
麗志郎
……て、いうのが始まりだったんだよね!
(なまえ)
あなた
へぇー、俺が寝てる間にそんな事が
起きてたのか!
いちごホイップサンドを食べ終わったあなたが、空の袋をクシャクシャと丸めて自分のズボンのポケットにねじ込む。
(なまえ)
あなた
ウシミツ小池の水女退治しに行った時めっちゃ仲良くなってたからさー。
(なまえ)
あなた
俺結構びっくりしたんだよw
麗志郎
麗志郎
それはマジでごめんw
(なまえ)
あなた
ふぁ〜…俺昼寝するわ。
(なまえ)
あなた
この昼休みの時間帯は、日光がいい感じに差してて昼寝に最適なんだよなー…
さっと仰向けになって寝転び、いつものようにあなたが心地良さそうに寝始めた。口元にはさっき食べたサンドのホイップがついている。
その姿が変に間抜けていて、僕は思わずフフッと笑みをこぼした。

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