第6話

✴︎あと1ヶ月
48
2024/07/10 07:14
エイト
……
ボクはモミジ公園にもうついていた。
時間で言うと、30分前…早すぎたかもしれない。
こんな遅い時間でも、公園は桜のライトアップのおかげなのか、イカで賑わっていた。
サンサンサングラス
ごめん!待たせたね!
エイト
ん?ああ、そんなに待ってないよ…って…
エイト
その服装…
サンサンサングラス
ん?ああ、これか!せっかくだから、こうしようかなって!
前、バトルをしていた時の服装。
とても懐かしく感じた。
それに…自分の心のどこかに「かわいい」という思いがあった。
サンサンサングラス
えっ…照れるなぁ…//
エイト
…声に出てた?
サンサンサングラス
気付かなかったんだね。思いっきり出てたよ…//
モミジ公園の桜のライトアップは実に綺麗だった。
モミジ公園の桜は、様々な種類がある。
ニンゲンがいた時代にあった、シダレザクラ、ソメイヨシノ、サトザクラ…
そしてこの時代になって品種改良された、ミライザクラ、ハコブネザクラ…
どれもこれも美しかった。
サンサンサングラス
エイト!この桜はなんというんだい?
でも、ボクの恋人の方が、よほど綺麗に見える。
エイト
それはエドヒガンザクラ。ニンゲンの時代にあったものらしいよ。
サンサンサングラス
なるほど…エイト、詳しいね!
エイト
…今日のために、調べてきたからね。
その時、とある看板に目が止まる。
その看板には、『ハコブネザクラを川に流してみよう!どちらが早く岸に着くか勝負しよう!必要なものはハコブネザクラの花びらだけ!』と書いてあった。
ちょうど、ボクはさっき拾ったハコブネザクラの花びらを2枚持っていた。
エイト
…ねえ、サンサンくん。
サンサンサングラス
なんだい?
エイト
…あれ、一緒にやらないか?
ボクはさっきの看板を指さす。
サンサンサングラス
…いいよ!ニコッ
満面の笑顔でサンサンくんは答えた。
川の岸に着いた。
エイト
せーので花びらを離すよ。
サンサンサングラス
オッケー!
エイト
せーの…
二人同時に手を離す。
ハコブネザクラは向こう岸に向かって流れていく。
サンサンサングラス
追いかけよう!
エイト
……
空には満月。
言うタイミングは…今か。
エイト
…あの、サンサンくん。
サンサンサングラス
なに?
花びらを追いかけようとしたサンサンくんがふりかえる。
ボクは、サンサンくんの近くまで行った。
そして、こう言った。
エイト
…月が綺麗ですね。
サンサンサングラス
…!
「月が綺麗ですね」とは、告白の言葉のひとつだ。
さて、オーケーしてくれるかどうか…
サンサンサングラス
…私にとって、月はずっと綺麗でしたよ。
この言葉は…
「私はずっと前からあなたのことが好きでしたよ」という意味だ。
つまり…オーケーしてくれたということだ。
サンサンサングラス
…余命が残り少ない、こんなボクでもいいなら…よろしく。
ボクとサンサンくんの顔が近づく…
ハコブネザクラは、同時に向こう岸へゴールした。
空は、この夜結ばれた二人を祝福するかのように晴れていた。
その日は、ボクにとってわすれられない1日となった。

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