第59話

目黒蓮 弱視 (いわふか後編)
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2024/06/09 21:39
目黒蓮
うぅ‥‥グスッ俺のッ‥‥俺のせいだッ‥‥グスッもう‥‥いやだッ‥‥。



俺のせいでみんなの足を引っ張るってことが嫌だった。


ライブなんて大イベントはそんなにめったにできるものじゃないし、前にライブの話が来たときはみんなでできることに喜んで、みんなで成功させた。


みんなやりたいって気持ちがあるのに、それを俺が叶えられないようにしてる。



岩本照
目黒。



ドア越しに照くんの声が聞こえる。

やっぱり心配したような、後悔してるような、いつもとは違う静かな声。



目黒蓮
グスッ‥‥ごめん照くんッ‥‥俺がッ‥‥こんなんだからッ‥‥!
岩本照
今の話は目黒のせいじゃないんだよ。ちょっと俺と話さないか?
目黒蓮
‥‥うんッ、グスッ‥‥わ、かったグスッ。
岩本照
‥‥入るぞ?


泣きはらして赤くなっているであろう目を擦り、布団から顔を上げた。

その直後ガチャッと音がしてドアが開く。



深澤辰哉
俺も入って良い?



聞き慣れたふっかさんの声が聞こえた。

俺の視界に写るのは、照くんらしき人と、ふっかさんらしき人の2人。


他のメンバーには気をつかわせたのかもしれない。



目黒蓮
‥‥うんッ。
岩本照
一旦話を聞いて欲しい。ベッド座れるか?
目黒蓮
‥‥コクリ。
岩本照
ふっかはここ座って。
深澤辰哉
はーい。
岩本照
目黒。まずライブの話、黙っててごめんな。
俺たちで目黒のこと勝手に考えて、勝手に判断してた。
やっぱりどんなことでもメンバーには相談すべきだった。



照くんが俺と向き合った形でふっかさんと前に座って、こう語った。



言葉でも言ってたけど、声音的にも照くんは“俺が悪かった”なんて思ってるんだ。


実際みんなに迷惑かけてるのは照くんじゃなくて俺の方だから、ごめんなんて言わないでよ良いのに‥‥。





でもここで俺が泣いたらもっと心配かける。


だから唇をぎゅっと結んで、なんとか涙をこらえた。






目黒蓮
‥‥グスッ照くんたちは、全然悪くないよ‥‥?
俺だって‥‥もっとメンバーには頼るべきだったって思ってる。
‥‥まだみんなに言えてない気持ちも、いっぱいあるから。
深澤辰哉
じゃあその気持ち、今俺らにぶつけちゃいな?
目黒蓮
でも‥‥
深澤辰哉
そのために俺ら来たんだもん。ね、照?
岩本照
おう。目黒、俺らに何でも言えよ?
こういう時は迷いなくメンバーを頼って良いんだからな?




もう俺の涙腺は限界だった。



こらえていた分の涙がどんどんと溢れていく。




ここで泣くなって思えば思うほど、涙は止まらなくなるような気がした。



でも2人は俺が話せる状態になるまで口を挟まずに待ってくれ、心に真摯に向き合ってくれる。




これは社会では“当たり前”じゃないかもしれない。

でも2人からしたら、SnowManの中では“当たり前”なのかもしれない。

いや、当たり前なんだ。


これがメンバーの役目なんだ。




俺は本当の思いを、自分なりの言葉で綴っていった。




目黒蓮
俺‥‥このまま治らなかったら、脱退とかした方が良いのかなって。
さっきも俺のせいでライブが中止になったし、番組も断ったりでしょ?
今の俺がいたところで迷惑なことしかないよね‥‥?




脱退。



俺がメンバーのためにするべきことかもしれないけど、改めて言葉にすると、とても怖いものだった。


でも2人にやっと打ち明けることのできた、俺の本音。

まだまだ心に秘めている言いたいことはいっぱいあったけど、その中で一番俺が強く思ってたことだった。


視線を下に落として、涙のせいでさらにピントの合わなくなった視界の中で自然とぎゅっと握られている拳を見ていた。




岩本照
俺たちは今の目黒がいて迷惑だなんて一切思ったことないから。
目黒が治るまで一生待ち続けるし、少しでも回復に近づけるように俺らにできることは全力でやる。
脱退なんてするな。いや、俺たちがそんなこと絶対にさせない。


照くんはこう言って、俺の固く握られている拳を優しく包み込んでくれる。

その手はいつも通りで、やはり温かくて、大きいものだった。


深澤辰哉
そうそう。みんな目黒が治るの待ってるよ?
本音を言うと、目黒がSnowManからいなくなることの方が迷惑。
そもそも1人減って8人体制だともうSnowManじゃないしさ?


2人はすごく温かい言葉をくれる。

悲しさなのか感動なのか、流れてくる涙はどっちか分からない。



でもこれだけは確かだった。

俺は今もこれからも、SnowManで生きていきたい。



これは俺の目標であり、願いだった。


岩本照
だから脱退なんて言葉、使うなよ。
目黒蓮
‥‥ありがとうグスッ‥‥照くん、ふっかさん‥‥グスッ。
俺、SnowManでいたい‥‥まだSnowManにいてもいいかな‥‥?
深澤辰哉
良いに決まってる。みんな待ってるんだからな、目黒のこと。
岩本照
“まだ”じゃなくて“これからも”な?
目黒蓮
‥‥うんッ‥‥本当に、ありがとう‥‥グスッ。
俺絶対治すからッ‥‥!絶対SnowManに復活するからッ‥‥!



頬を伝う涙を拭って、精一杯にほほえんだ。

目の前の2人の思いに、今の俺なりに応えたい。


それがそう思った俺にできる最善のことだった。



岩本照
おう。いつでも待ってるから。
頑張ろうな目黒。


照くんはとんとんと、元気付けるように俺の肩を優しくたたいた。


ふっかさんも
深澤辰哉
いつでも悩みあったら相談乗るからな?

と、俺の反対側の肩をとんとんとたたいた。


岩本照
多分みんなも心配してる。
目黒、みんなんとこ行かないか?
目黒蓮
うん、行く‥‥!



他のメンバーにも話がしたかった。

それに、さっきのことを謝りたかった。


みんなは俺のために話し合ってくれたことなのに、俺はみんなの話も聞かずに部屋まで来ちゃったから。



照くんとふっかさんに手を取られながら、みんながいるというリビングまで向かった。






ガチャッ。

俺の前を歩く照くんが、リビングへと繋がるドアを開けた。




俺のぼんやりとした視界に広がるのは、さっきの話し合いみたいにテーブルを囲むみんなが。

ぼやけてるからもしかしたら勘違いかもだけどね。





ラウール
めめっ!!
佐久間大介
めめ!!
向井康二
めめぇ!
渡辺翔太
目黒っ!!
阿部亮平
めめ!
宮舘涼太
目黒!


俺の視界でテーブルのあたりから動きがあった。

みんなはこっちへと走ってくる。


そうだ‥‥みんなに伝えたいこと、言わなきゃ。


目黒蓮
みんな、本当にごめ‥‥うわっ!
ラウール
もぉ‥‥心配したよギュッ。
向井康二
めめ、俺たちが悪かってん。ほんまにごめんなぁ‥‥。
渡辺翔太
俺ら今の目黒のこと、何も分かってなかった。本当に、悪かった。
宮舘涼太
勝手に目黒のこと決めつけてごめん。
阿部亮平
しかもめめが寝てからこそこそ話し合いして‥‥。
佐久間大介
あの光景見たときすごい嫌だったよね‥‥?ごめんねめめ。
深澤辰哉
今まで他にも辛かったことあったよな‥‥?気づけてなくてごめん。
岩本照
まずは目黒の考え聞くことが大事だったよ。
そんなこともできないリーダーでごめんな?


ラウールに抱きしめられながら、みんなの言葉を聞く。

俺の今の目では見えないけど、きっとみんなは真剣で、真っ直ぐで、でも優しい瞳をしてる。


目黒蓮
みんな謝りすぎだよ。ごめんしか言ってないじゃん笑。
みんなは俺のためを思ってやってくれたことでしょ?
だからそんなに自分を責めないで?
俺はさ、みんなと“SnowMan”でいられることだけで嬉しいんだから。



さっきみたいに精一杯ににこっとほほえんだ。


もう見える見えないの問題じゃない。


俺は言葉でも言った通り、今もこれからも“SnowMan”でいられることが嬉しすぎるから。


今の俺にはその保証があるだけで頑張れる。



佐久間大介
めめぇー!ギュッ!!
目黒蓮
うぉっ!? ちょ、佐久間くん苦しいよ笑。
ラウール
佐久間くん苦しー!
渡辺翔太
ラウールも巻き添えくらってる笑。
向井康二
じゃあ俺もぉー!ギュッ!!
目黒蓮
ちょっと康二笑。だから苦しいってー!笑
向井康二
ほら、しょっぴーも突っ立ってないでおいでや?
渡辺翔太
はぁ!? 俺は良いって‥‥うぉ苦しい!笑
こうなったらみんな巻き込んでやる!来い涼太!
宮舘涼太
え!? こうなったら‥‥じゃあ阿部もおいで?笑
阿部亮平
えぇっ!俺は良いよっ!うわっ!
岩本照
じゃあ俺もー笑。ほら、ふっかも来いよ?笑
深澤辰哉
仕方ねぇなぁ!笑
目黒蓮
え?照くんにふっかさんまで?笑
ねぇ俺苦しいんだけどー!笑
向井康二
ええやんええやん!笑
ラウール
これどういう状況っ?笑
佐久間大介
こういう状況ー!!笑




やっぱりみんなで笑わせて、笑い合える場所“SnowMan”が俺は大好きだ。



目なんかまともに見えなくても、この居場所があるだけで頑張れる。

苦しい治療だって、嫌な薬だって、この場所にいれるなら頑張ろうって思える。



SnowManがこのメンバーで本当に良かった。

これからもよろしくね、みんな。




メンバーごとの看病はこれにて『完』とさせていただきます。



今度めめが治ったバージョンのアフターストーリー出します!

お楽しみに✨

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