あなた『……ゼロがいないとほんっと静かだな』
ゼロと隔離してから一週間。あたしは今までの静かさを取り戻していた。ここ最近は謎の声も聞こえない。
その分,謎の声について考えるようになった。
あなた『……あの声本当にどこかで聞いたことがあるんだよなぁ』
ガラガラで,ちょっと機械みたいな声だけど,あの声はおそらく聞いたことがある。
保証はない。けど,どうやっても聞いたことがある,という答えにたどり着くのだ。
あなた『失礼します。お呼びでしょうか』
長官『うむ。ゼロが暴れ出してな』
長官に呼び出され,なんだなんだと身構えながら長官室に入ると,予想をはるかに超える回答が返ってきて,目が点になった。
あなた『ゼロが,暴れた……?』
長官『長谷川の供述はどうやら国見を出さないと施設を破壊すると騒いでいたそうだ』
あなた『おぉ……怖っ』(
他人事になってしまう。ていうか第一部隊であたしの名前を出さないでほしかった。
鳴海『クァ~なんのようですか?功さ……』
あなた『っ!』
第一部隊でゼロが騒いだというのならば,彼が黙ってはいられない。……たしかにゼロ同等の問題児だが,責任は彼にある。
でも,彼は来ないと,どこか信じていた自分がいた。……来たということは,あたしがいるということを知らされてなかったのだろう。
鳴海『功さん,なんで彼女がいるのですか』
あなた『っ……』
しかも,国見叶大の発言だって……彼はとても不満そうだ。
長官はきっぱりと答えた。
長官『なぜ?そんなに理由は必要か?』
鳴海『納得がしていないので』
この空気に耐えられないかもしれない……
ゼロ『あなた~!』
あなた『え!?ゼ……叶大!?』
カオスすぎる……!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。