あなた『ねぇ,本当に,教えてよ。あなたは誰なの……?』
そう聞いても誰も答えてくれない。
部屋に戻って,枕に顔を押しこむ。涙が止まらない。
??『いつまで猫を被ってるの?』
あなた『!!ねぇ,本当に!』
誰なの!?そう聞こうとして辞めた。彼が話し始めたから。
??『君は,綺麗事で本当の自分を隠してる』
あなた『綺麗事で……』
あたしの本当の自分ってなんだろう。
あなた『……今何時!?』
窓から差し込む太陽がオレンジで飛び起きると,まだ朝の4時だった。
昨日は,謎の声に色々聞かされた。
あたしは綺麗事で本当の自分を隠しているということ。それから,謎の声の名前はロゼ。
……なんだか名前はゼロをひっくり返しているみたいだ。
あなた『……最悪な目覚め』
もう何年も良い目覚めしかしていなかった。
自分で言うのもなんだが睡眠はとても良い方で,どんなに遅くても,どんなに落ち込んでも眠りが浅い,遅刻するなんてことはなかった。
ロゼとゼロ……。何か関係があるのだろうか。
あなた『……水飲んで,もうトレーニングルームに行こう』
伸びしろがもっと必要だ。
ロゼ『お姉ちゃん』
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!