_____記憶の手がかりは、匂い。
好きな人の匂いは覚えてる。
2014年 8月
俺は大切な人を失った。
高校1年生の夏、
何も言わずに俺の前から消えた、白永あなた。
俺の自慢の彼女だった。
電話もメールも、何もかも繋がらなくなって
今何をしているのかも、生きているのかすらも、
分からなくなってしまった。
あれから5年。
2019年 8月
大学3年生になった俺は
彼女の顔すら、覚えていなかった。
けど思い出したのは、
昼食を食べようと、食堂に行った時。
ドンッ
「 すみませんっ、」
『 いえ、こちらこそ…』
相手の荷物が落ちてしまったため、
拾っていた、その時。
フワッって、香ったんだ。
「 あなた…?」
『 ……?』
「 白永あなた?」
『 ……廉…?』
「 そう、俺、永瀬廉、覚えてる、?」
『 …覚えてる、当たり前じゃん』
5年前に俺の前から消えた、
大好きな人。
その後、親の都合で大阪から東京に引っ越したこと。
俺に伝えたら着いてくると思ったから、
言わなかったこと、全部教えてくれた。
『 廉……』
「 俺、今でもあなたの事好きや。
あなたは、?」
『 ……好きに決まっとるやろ、(泣)』
「 まって、なんで泣くん?!?!」
『 覚えててくれただけで嬉しかってん、
まだ好きとかゆわれたらもう…(泣)』
あなた、俺は一生、
あなたを愛し続けるからな。
『 てゆーか、なんで私だってわかったん?』
「 …匂い。」
『 ……そうなんか、』
「 好きな人の匂い、忘れられへんの。」
『 …好きな人……』
「 大好きな人!!!!!」
2日目 : 『記憶』 Fin.












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。