朝
基地の窓から柔らかな光が差し込んでいた
白い壁に反射する光
静かな空気
今日も穏やかな一日の始まりだった
風も弱い
遠くからは街の音が聞こえる
人々の声
生活の音
戦いとは無縁の、平和な朝だった
モンスター出現の報告も少ない
緊急任務も入っていない
殲滅部隊全体が、
比較的落ち着いた一日になりそうだった
基地の会議室
いつもの五人が集まっている
らっだぁが大きく伸びをする
背中を反らし、腕を伸ばす
その声は明るい
余裕のある声だった
金豚きょーが椅子にもたれながら言う
あの事件から数日
彼の表情はもう落ち着いている
以前のような不安定さはない
だが完全に消えたわけではない
それでも今は――
穏やかだった
みどりは机の上で資料を整理している
紙を揃え、静かにまとめていく
小さく頷く
短い言葉
だが本心だった
レウクラウドは回復道具の確認をしている
瓶の中身
魔力の残量
丁寧に一つ一つチェックしていく
優しい声
冷静な判断
そして――
コンタミ
彼は椅子に座り、いつも通りお茶を飲んでいた
カップを持つ手は安定している
動作に無駄がない
視線は静か
落ち着いた雰囲気
まるでこの空間の中で
一番“揺れていない”存在のようだった
午前
らっだぁ運営部隊は街の外へと向かう
目的は巡回
大きな戦闘は想定されていない
確認と安全確保
それが今日の任務
向かった先は小さな村
木造の家
畑
のどかな風景
農作業をしている人々がこちらに気づく
声が飛ぶ
笑顔
安心した表情
らっだぁが手を振る
元気な声
遠くまで響く
金豚きょーが横で言う
半分呆れた声
だが少し笑っている
みどりは少し恥ずかしそうに小さく手を振る
レウクラウドは優しく微笑む
そして
コンタミは軽く会釈をした
深すぎず、浅すぎず
礼儀正しい動き
その姿は紳士的だった
だが
ほんの一瞬だけ
村人の視線が彼に止まる
気づかないほどではない
だが確かにあった
巡回の途中
森の近くで反応が出る
小さな気配
弱い魔力
らっだぁが足を止める
周囲を見る
レウクラウドが確認する
危険度は低い
通常のモンスター
らっだぁが笑う
全員が頷く
緊張はない
ただの作業に近い戦闘
モンスターが現れる
小型
素早いが、脅威ではない
らっだぁが前に出る
鬼化
瞬間的に加速
一体目へ接近
拳を叩き込む
みどりは姿を消す
みんなをサポートしながら音もなく背後へ
短剣が閃く
二体目を正確に切る
金豚きょーは空へ
翼は出していないが跳躍で高度を取る
上から攻撃
三体目の動きを止める
レウクラウドは後方
全体を見ている
いつでも回復できる位置
そして
コンタミ
彼は一歩前に出る
手をゆっくりと上げる
地面の水分が反応する
見えないほど微細な水
それが一箇所に集まる
そして――
形を変える
触手
水の流れが意思を持ったように動く
一体目のモンスター
逃げようとする
だが遅い
水の触手が絡みつく
拘束
動きを完全に封じる
そのまま
叩きつける
地面に強く
別の触手が伸びる
二体目
三体目
同時に拘束
一瞬
ほんの数秒
戦闘は終わった。
その場に静寂が戻る
風の音だけが聞こえる
村人たちが見ていた
少し離れた場所から
小さな声
驚き
らっだぁが笑う
コンタミの方を見る
誇るような声
コンタミは少し困った顔をする
言葉を濁す
その時
村人の一人が少しだけ後ろへ下がる
ほんの一歩
ほんのわずか
だが
それは確かにあった
水の触手
強すぎる拘束
圧倒的な制圧力
それは便利な力
守るための力
だが同時に
“怖さ”も持っている
恐怖ではない
拒絶でもない
ただ――
距離
コンタミはそれに気づいていた
気づかないほど鈍くはない
昔からそうだった
力を見せると人は少し距離を取る
直接何か言われるわけではない
嫌われるわけでもない
でも
確かにある
壁のようなもの
“近づきすぎない距離”
それが、少しだけ
心に残る
村を離れる
五人で歩く
夕方の光
長い影
素直な声
尊敬
レウクラウドも頷く
安心した表情
実戦的な評価
らっだぁは笑う
明るい声
コンタミは少し笑う
仲間は違う
彼らは距離を取らない
恐れない
避けない
それは分かっている
ちゃんと理解している
それでも
過去の記憶は完全には消えない
基地
静かな夜
コンタミは一人、部屋にいた
手の上に水を作る
小さな水球
ゆっくりと回る
水は彼の意思で動く
自由に形を変える
その光景を見ながら、ふと思い出す
昔のこと
力を見せた日
周囲の視線
少し離れていく人
何も言われなかった
でも
分かった
「ああ、自分は違うんだ」
その感覚
コンタミは静かに呟く
水が揺れる
答えは返ってこない
部屋には誰もいない
音もない
ただ、水だけが動く
彼の心の奥
そこにあるもの
孤独
まだ小さい
まだ抑えられている
だが
確かに存在している
静かに
ゆっくりと
積み上がっていく
ストレス値
らっだぁ:30
みどり:28
金豚きょー:34
レウクラウド:37
コンタミ:40












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。