私は今どういう状況…??
黒尾くんに手を引かれて走っている…
大きな背中を見ながら…
【今から1人で抱え込むな】
さっき、黒尾くんに言われた言葉が頭の中で木霊する…
そう言って黒尾くんは部室に入っていった。
ものの数秒で着替えて出てきて、また私の手を引っ張って体育館に向かった。
あわわわ…
私のせいで黒尾くん部活に遅刻しちゃったんだよね…
黒尾くんはそう言って私の頭をポンポンしてコートに入っていった。
私は両手で顔をパチっと叩いて、コートを見つめた。
練習が再開し、レシーブからのトス、スパイクの練習が始まった。
綺麗にセッターに返されるレシーブから、様々なトスから繰り出される多様なスパイク…
分かる…なんとなくだけど…
合ってるかわからないけど…
でも、この前見学させてもらった時はただただ迫力に圧倒されただけだけど…
今は…
分かる!バレーボールっておもしろい!!
黒尾くんがトスを呼び、高く舞う。
しなやかに…
バシッ!!!!
高く飛んだ黒尾くんの背中はとても大きくて、キャプテンとしての頼もしさも感じた。
そう叫ぶと黒尾くんがこちらに走ってきた。
両手を挙げて…
戸惑ったけど、初めて言ってみた。
ちょっと恥ずかしかったけど…
黒尾くんはニヤっと笑ってコートに戻っていった。
その後はブロック練習。
どんどん繰り広げられる様々なプレー。
私は、自分が書き溜めたノートを見ながら夢中になって見ていた。
俺は無理矢理、あなたの名字を図書室から連れ出した。
お前の努力、根性、真っ直ぐな気持ち…
もう十分わかった。
あとは、五感でバレーを感じて欲しかった。
見てろ、バレーがすげぇ面白いってところ見せてやる。
そして研磨からトスがあがる。
見てろ、あなたの名字。
バシッ!!!!
呆気にとられてるあなたの名字に駆け寄った。
あなたの名字はちょっと戸惑いながら両手を挙げ…
な、ナイスキー…?!
ニヤ…覚えたての言葉使ってきやがって!
クソ嬉しいじゃねぇか!!
パン!!
今まで感じたことの無い初めての感覚のハイタッチだった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。