第33話

金曜日の偶然が
1,027
2018/06/10 23:36
冷たい風に背中を押される。
サラリーマンや学生とすれ違う。
勿論、私には気づかない。
私が…見えない。
それが、当たり前なのに、
ね。
思えばあの日が始まりだった。
信号だって青だった。
左右確認もした。
なのに
なのに
なんで
なんでよ
今でも私を引いたあの人は、
のうのうと生きている。
どうして?
自然と足取りが、早くなる。
だんだん早くなる。
だんだん下を向く。
だんだん…
見えなくなる。
未来が、
見えなくなる。
切なくバラバラ散る。
私の何か。
曲がり角を曲がろうとした時_
"どすっ"
思い音を立てて私は誰かとぶつかり、尻餅をつく。
??
あっ、すいません
それと同時に聞きなれた声。
ゆっくりと顔を上げる。
あなた

じんたん…?

じん
あなたちゃん…!?!?
驚きで、声が出ない。
じん
あなた…ちゃんだよね…!?!?
私は、小さく頷く。
それを見たじんたんは、"ニカッ"と笑う。

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