それから私は、海人の亡骸とお別れした。
火葬場には4番と9番がないことを知った。
1時間がたって、出てきた海人には
「海色」の髪も黄色の瞳もなかった。
そして、海人のおばあちゃんも入っているひっそりとした墓に海人は入った。
たくさんのユリが飾られた墓は、
とても華やかだった。
みんなで手を合わせる。
海人の安らかな眠りを願って______
さようなら。
海人
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1月7日
海人を見送ってから1週間がたった。
最初の頃は、ご飯もあまり食べられなかったし、眠れない夜が続いた。
それでも、今では普段の生活ができるようになっていた。
それは、みんながいてくれたから。
毎日のように、光ちゃん、ハル、さくや、愛音ちゃん、お兄ちゃんが交代で遊んでくれていた。
みんなも辛いし、忙しいはずなのに……。
一人になる時間がなかったおかげで、一人で苦しむ時間はなかった。
みんなには本当に感謝しないと。
友達って、
一人でいたくても、簡単には一人にさせてくれない存在なんだね。
そして。
私はアイロンのかかったブラウスに腕を通す。
スカートをはいて、ベストを着て。
紺色のブレザーを羽織り、赤チェックのリボンをつける。
一昨日、愛音ちゃんに引っ張られて久しぶりに美容室に行った。
腰まであった長い髪を肩くらいまでバッサリ切った。
なんだか清々しい気持ちだった。
短くなった髪にヘアミストをかけ、ピンでとめる。
私はサブバッグを持って、ローファーを履く。
そして、玄関のドアに手をかける。
私は家を出た。
学校に行くために。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。