夢を見ていた気がする
記憶の片隅にある何かだった
だがどうしても思い出せない
どうして夢は泡沫のように消えてしまうんだろう
ふわりと冷たい風が肌を撫でた
誰かいる
乾いた喉から出たのは掠れた声
自分でも驚くほどだ
紫音か…
どこをどう見たら元気に見えるのか
それに昼間も会ったじゃないか
あぁ、いつものようにプレハブから出てきたのだろう
だとしたら何しに来たのか
コップを受け取ろうと手を伸ばすが、目が見えないのをわかっている紫音はコップを渡さず、半強制で水を飲ませてきた
紫音は考えるようにしてから話し出した
そんなこともあっただろうか
そこにいるであろう紫音に顔を向ける
私のなんの力も持たない言葉が誰かを救っていたなんてなんだか不思議だ
それでもわざわざ紫音が会いに来るなんて私には到底理解ができない
そう言って扉を開ける音がした
気配が消え再び1人になったのだと実感する
この重圧、殺気、間違いない
あぁ、なんでこんな時に裏返っているんだろう
でもどういう訳かこれっぽっちも怖くない
あの日、初めて裏犬飼に出会った日
「これはなんだ」そう言って手首を掴んだのだ
犬飼は何も答えない
ただこちらを見ている、そんな気がした
犬飼は私に対して言った「裏切る気か」と
あの日からずっと、ずっと考えてた
分からないから考えたんだ沢山
ねぇ、もう1人の犬飼
貴方は犬飼が私を気にかけているのを知ってる
もちろん心配してるのも
私の幸せを願っているのも
だからこそ、私が犬飼のそれに応えないのを
メタルの侵食を言わないのを
貴方はきっと怒っているんでしょう
瞼が重い
目を開けていられない
瞼を閉じれば変わらぬ暗闇が広がる
目を開けてても暗いのに、その変わらぬ暗闇が恐ろしくてたまらない
もうここから救い出してくれる彼はいないのに…
目を覚ますとそこは自分の部屋ではなく、あなたの眠る医務室だった
静かに眠るあなたが生きているのか少し不安になり口元に手を当てた
息が当たる
鈍色の痣が斑に支配しているあなたの顔を見た
犬飼はあの日、自分が見た少女を思い出していた
読んでいただきありがとうございます!
ドプスペ最高でしたね…!!
犬飼さんは今回お休みでしたが、囚人3人で楽しそうでしたね笑
パララブ学園も臨海学校があるので楽しみですね!

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。