第60話

44話
316
2025/06/17 12:45 更新
夢を見ていた気がする



記憶の片隅にある何かだった

だがどうしても思い出せない

どうして夢は泡沫のように消えてしまうんだろう
























ふわりと冷たい風が肌を撫でた
誰かいる
(なまえ)
あなた
だ……れ…
乾いた喉から出たのは掠れた声
自分でも驚くほどだ
甲斐田紫音
甲斐田紫音
やぁ、元気?
紫音か…
どこをどう見たら元気に見えるのか
それに昼間も会ったじゃないか
(なまえ)
あなた
な…んで
甲斐田紫音
甲斐田紫音
時間の感覚ある?今、夜なんだけどさ
あぁ、いつものようにプレハブから出てきたのだろう

だとしたら何しに来たのか
甲斐田紫音
甲斐田紫音
その前に水飲みなよ
酷い声だから
(なまえ)
あなた
ん…
コップを受け取ろうと手を伸ばすが、目が見えないのをわかっている紫音はコップを渡さず、半強制で水を飲ませてきた
(なまえ)
あなた
…なんでここに来たの?
甲斐田紫音
甲斐田紫音
ん〜?
(なまえ)
あなた
そういうことするキャラじゃないでしょ
甲斐田紫音
甲斐田紫音
…そうだね
紫音は考えるようにしてから話し出した
甲斐田紫音
甲斐田紫音
あなたちゃんさ、出会った頃俺になんて言ったか覚えてる?
(なまえ)
あなた
甲斐田紫音
甲斐田紫音
「人魚姫みたい」だよ
姫だって、正直笑っちゃったよねぇ
そんなこともあっただろうか
甲斐田紫音
甲斐田紫音
でもそれが理由
あの頃のあなたちゃんは善悪に無頓着で、悪いことも「なんで?」って聞いちゃうような子だった
(なまえ)
あなた
…うるさい
甲斐田紫音
甲斐田紫音
でもそんなあなたちゃんだからあの言葉が出たんだろうね
(なまえ)
あなた
そっか…そうだね
もう見えないのが惜しいよ
そこにいるであろう紫音に顔を向ける
私のなんの力も持たない言葉が誰かを救っていたなんてなんだか不思議だ

それでもわざわざ紫音が会いに来るなんて私には到底理解ができない
甲斐田紫音
甲斐田紫音
もう行くよ
バレたらやばいし
そう言って扉を開ける音がした
気配が消え再び1人になったのだと実感する
(なまえ)
あなた
!!
この重圧、殺気、間違いない
(なまえ)
あなた
犬飼…?
犬飼憂人・裏
犬飼憂人・裏
…よぉ
あぁ、なんでこんな時に裏返っているんだろう

でもどういう訳かこれっぽっちも怖くない
(なまえ)
あなた
聞きたいことが…あるの
犬飼憂人・裏
犬飼憂人・裏
(なまえ)
あなた
メタルの侵食…知ってたの?
あの日、初めて裏犬飼に出会った日

「これはなんだ」そう言って手首を掴んだのだ






犬飼は何も答えない
ただこちらを見ている、そんな気がした
(なまえ)
あなた
ずっと…考えてた
あの後言われた…裏切りって言葉…
犬飼は私に対して言った「裏切る気か」と

あの日からずっと、ずっと考えてた
(なまえ)
あなた
貴方は…犬飼を守るために…
犬飼憂人・裏
犬飼憂人・裏
黙れ
お前に何がわかる
(なまえ)
あなた
分からないよ…
分からないから考えたんだ沢山

ねぇ、もう1人の犬飼

貴方は犬飼が私を気にかけているのを知ってる
もちろん心配してるのも
私の幸せを願っているのも

だからこそ、私が犬飼のそれに応えないのを
メタルの侵食を言わないのを
貴方はきっと怒っているんでしょう




瞼が重い

目を開けていられない



瞼を閉じれば変わらぬ暗闇が広がる
目を開けてても暗いのに、その変わらぬ暗闇が恐ろしくてたまらない

もうここから救い出してくれる彼はいないのに…
















犬飼憂人
犬飼憂人
…あれ、私は…
目を覚ますとそこは自分の部屋ではなく、あなたの眠る医務室だった
(なまえ)
あなた
静かに眠るあなたが生きているのか少し不安になり口元に手を当てた
息が当たる
犬飼憂人
犬飼憂人
良かった…
鈍色の痣が斑に支配しているあなたの顔を見た


犬飼はあの日、自分が見た少女を思い出していた
読んでいただきありがとうございます!

ドプスペ最高でしたね…!!
犬飼さんは今回お休みでしたが、囚人3人で楽しそうでしたね笑
パララブ学園も臨海学校があるので楽しみですね!

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