第13話

12話
8
2024/06/17 08:00
アイ
父の最期は老衰で、安らかに永遠の眠りにつきました。
しかし、マザーはそれを受け入れることができませんでした。
何日間も発狂したように「一人にしないで」と泣き叫びました。
それから数百年、彼女はゆっくりと、しかし確実に狂っていきました。
アイ
そして、ある日父の頭を胴体から切り離すと、それを持って操縦室に篭もりました。
あなたたちのような存在がこの宇宙船にやってくるようになったのは、それからです。
ゾム
今も頭は操縦室にあるん?
アイ
はい、おそらく。
鬱先生
「完璧であれば、愛されるというわけではない」か……
アイ
仕方ありませんよ…… 私は人間になりそこねたロボットです。
ゾム
……
鬱先生
……
アイ
あ、すみません。変な空気になってしまいましたね。そろそろ戻りましょう。
【プレイルーム】
シャオロン
あ、帰ってきた!
ロボロ
どうだった?
ゾム
えっと……
アイ
私が話しますね。
ロボロ
そうなことがあったんや…
シャオロン
何百年も同じ場所に閉ざされたら狂ってもおかしくないよな。
アイ
そんな感情を持てるなんてマザーの方が人間に近かったのでしょう。
シャオロン
い、いや。そういう意味じゃなくって!
アイ
別に嫌だった訳じゃないですよ。事実なんで……
鬱先生
……2人は何か見つけた?
ロボロ
特別な保管ロッカーがいくつもあったよ。
ただ、ちょっと変なところがあって、
シャオロン
宇宙服と医療道具が置かれている保管ロッカーが少し空いていて宇宙服はなくなってたんよ。
ロボロ
さっき小塚さんがアイを壊したって言っていたよね?今どこにいるかわかる?
アイ
私が壊されてからの記憶はありません。ただ、生きている可能性は低いですね。
鬱先生
なんで?!
アイ
マザーはあなたたちを殺すためにここに呼びました。小塚を呼んだのも同じ理由でしょう。
ゾム
なら早く操縦室に行こうや!
シャオロン
まだ助かるかもしれんしな。
ロボロ
あと、マザーはどうやって俺達をここに呼んだん?
アイ
おそらくマザーはヨグ・ソトースの力借りてたのではないでしょうか…ちょっと強力な<門の創造>だったのでしょう。
ゾム
門の創造?

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