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第14話

白狐のあやかし
葛葉 白夜
葛葉 白夜
今は、絵本を中心に描いてるんだ
あなた

絵本!?


白夜くんが、手作りの本を一冊、渡してくれた。
あなた

すごい、本格的……。
読んでもいい?

葛葉 白夜
葛葉 白夜
もちろん

物語の主人公は、白い子狐。


ある日、他の獣に襲われ怪我をしていた子狐は、親を亡くしたばかりの人間の女の子に拾われる。


一緒に過ごすうちに、彼らは絆を深め、子狐は女の子を守る立派な狐へと成長していく。


だけど、種族の違いからずっと一緒にいられなかった彼らは、別々の道を歩んだ。


そしてまた、彼らの子どもたちが出会うところで物語は終わる。
あなた

(わあ……)


どこか、私と白夜くんを重ね合わせているような内容にも思えた。


切なくも温かい読後感で、心臓がドキドキしている。
あなた

はー……。
とてもよかったよ


絵本を返そうとすると、白夜くんは首を横に振った。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
それはあなたにプレゼントしようと思って描いたものだから、よければ受け取ってほしい。
これには俺の力を込めてあって、どこか身近な場所に置いてくれたら、魔除けになる
あなた

いいの?

葛葉 白夜
葛葉 白夜
うん……。
その、代々あやかしは、花嫁にしたい女性に魔除けを贈るってしきたりがあるらしくて……
あなた

そ、そうなんだ?


それは、返すわけにはいかない。


ありがたく受け取ったけれど、白夜くんに恥ずかしそうに言われると、こっちまで照れてしまった。



***



日が暮れるまでは、ふたりだけの勉強会をして過ごした。


いつも通りだけど、特別なことをしようとして苦労する白夜くんを見るより、生き生きと勉強を教えてくれる彼を見る方が、何倍も楽しかった。


縁側に並んで座り、庭池で鯉が泳ぐ音を聞きながら、白夜くんに何かお礼ができないかと考える。


でも、すぐには何も思い浮かばず、白夜くんの手を取って握った。
あなた

今日は本当にありがとう。
絵本、大事にするね!

葛葉 白夜
葛葉 白夜
えっ……

彼の白い肌にさあっと赤みが差したかと思うと、獣耳と尻尾がぽんっと出てきた。


初日に見たのは耳だけだったけれど、尻尾も出るらしい。
あなた

わっ! すごい!

葛葉 白夜
葛葉 白夜
驚くと勝手に出ちゃうんだ……。
今しまうから
あなた

待って。
ち、ちょっと触ってみてもいい?


好奇心からか、既に私の手は伸びかけていた。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
触るくらいなら、いいよ
あなた

ありがとう。
うわあ……もふもふ……


触りやすいように背中を向けてくれるあたりが、やっぱり白夜くんだ。


耳も尻尾も柔らかくて、白銀の毛並みが美しい。
あなた

(本当にあやかしなんだ……)


不思議に思いながらも、優しく触って楽しんでいると、白夜くんが顔だけこっちを向けた。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
初日は信じてもらうために見せたけど……。
怖いとか、気持ち悪いとか、思わないの?

白夜くんは不安そうに、恐る恐る聞いてくる。


私は笑って、首を横に振った。
あなた

びっくりはしたけど、大事な幼馴染みだもん。
全然怖くないよ


私の反応を見た彼は、目を丸くしながらも嬉しそうで、頬を掻いている。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
そういうとこが、昔から本当に好きなんだ……

聞こえてきた呟きに、私ははたと動きを止めた。
あなた

えっ?

葛葉 白夜
葛葉 白夜
えっ、あっ……

ふたりの声が重なった。
あなた

(今、好きって、言われた?)


互いに真っ赤になって、うろたえる。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
ほ、本当は俺なんか候補にも選ばれないだろうって思ってた。
でも、選ばれたからには、頑張ろうって決めたんだ
あなた

白夜くん……

葛葉 白夜
葛葉 白夜
だからこんな形で、告白するつもりじゃなかったんだけど……
あなた

……ありがとう、嬉しいよ


すぐに返事はできないけれど、それが本心だった。


神社に生まれた子だからじゃなくて、ちゃんと私自身を見ていてくれるから。
葛葉 白夜
葛葉 白夜
そうだ。
せっかく、来てくれたから

白夜くんは手のひらに狐火を灯すと、それを庭一帯に散らした。


小さくなった炎は、蛍火のように幻想的で。
あなた

わあ、温かい光……

葛葉 白夜
葛葉 白夜
返事はいつか、聞かせてね
あなた

うん、約束する


指切りを交わし、私たちは笑い合った。


【第15話へ続く】