設定:徹也さんの元カノです。
Get over you...のあなたさんsideです。
--------キリトリ線--------
♪Oh No... I will get over you...
徹也が初めて作詞した曲、
"Get over you..."
すごく素敵な歌詞で、感動した。
でも、徹也が歌詞にするほど想っている人がいると思うと胸がいたんだ。
女々しすぎでしょ、私w
小学生のとき、日本人の男の子が転校してきた。その子が徹也だった。
私は日本とドイツのハーフでクラスで唯一日本語が喋れたから、徹也と仲良くした。
最初は、本当に人助けのつもりだった。
でも、いつからか私の隣に徹也がいることが当たり前になり、私は徹也を好きになった。
それから小中高と一緒の学校に進学し、高校に入ってすぐ、私たちは恋人になった。
ずっと一緒にいれると思っていた。徹也もそう思っていると。だからあえて言葉にしなかった。
いや、思っていたのとは違う返答が来るのが怖かった。だから、これからの事を聞こうとしなかった。
きっとそんな私に神様が罰を与えたのだろう。
徹也に別れようと言われた。
理由を聞いて納得はした。だけど、当たり前だと思っていた未来が崩れた。その瞬間を目の当たりにした。怖かった。
本当は別れたくなかった。
一緒に日本に行きたかった。「一緒に来て欲しい」と言って欲しかった。
でも同時に、徹也の考えを、夢を、思いを、尊重して応援したかった。
私が笑えば、私が「がんばって」って言えば、徹也は安心できるのだろう。頑張れるのだろう。
だから、
だから私は、
と言った。そしたら徹也も泣きながら笑って
って言ってくれた。
その時の私の顔は酷かったと思う。
どうしても最後まで見送りたくて空港まで行った。
そんなこと言えなくて。
言いたくなくて。
って、最後まで強がった。
そんな私の頭を撫でて頷き、
って、一言で徹也はドイツを出た。
最後まで強がり合った。きっとこれが私たちのカタチなんだと思う。
これから、徹也は徹也の、私は私の未知を拓いていく。それぞれ。交わることなく。
そう言って仰いだ星は、滲んでいた。
それから私はドイツの大学を卒業して、日本の企業に就職した。
日本に来た理由は2つ。
日本の企業にやりたいことを見つけたから。
ドイツよりも徹也の応援がしやすいから。
きっと出会ったときから、私の人生は徹也を中心に回っているんだと思う。
今も、行けるだけのイベントやライブには行くし、出たCDやDVD、グッズ、雑誌は全部買ってる。出てる番組、ラジオだって全部チェックする。ライブで目が合うと気づいてくれたのかと期待する。
もしかしたら私は、声優の柿原徹也が好きになったのかもしれない。
そうじゃないと信じたい。
でもきっと徹也は私のことを好きじゃない。
分かってる。でも、
それでもいい。
それでもいいから、もう少しだけ
徹也を好きでいさせて。
--------キリトリ線--------
早速予告を無視した作者です。
いかがだったでしょうか。
なんだかこれからこのシリーズが続きそうです(笑)
今回もちなみにですが、「未知」は、「道」ではなく「未知」です。わざとです。
なるべく1日に1つあげられるように頑張ります。
では、またお会いしましょう。
次回こそは、のぶくんです。たぶん。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。