チッ チッ チッ チッ チッ
時計って不思議だ。1秒たりとも止まることなく永遠に同じ動きを繰り返している。
狂いもなく同じ感覚で、時を刻む。それが時計の役目、運命、定め。
廊下にポツンと置かれた柱時計の目の前にしゃがみ込み、左右へ一定に触れる振り子を見つめる。
何か仕掛けがるようにも見えず、中に何か隠されているという印象はとっても薄い。そもそも何かを入れられそうな扉が一つもない。
振り子と私を隔てるガラスに、映った自分の顔をじっとみる。
なんて顔してんだ私、
ふっと力を抜き立ち上がる。
「なんも変わりないね、」
沙耶香は私の隣に立ち、時計の針をじっくりと見つめながらそう言った。
「ただ、動いてるのが凄く不気味」
今までこの時計は飾り、なんのためにここにあるのか疑問を抱いたことすらなかった。
校長先生は言ってた、この時計には噂がある。それも危険な噂が…と、だったらなんでこんなところに置いてあるんだよ。処分しろよっていうのが個人的な意見。
でも、今の状況からして本当に危険であることは確かだ。
脳裏に杏の姿が浮かぶ。苦しそうに、いやもはや痛みも感じられるのかどうかすらわからない苦しみ。
ジクジクと頭が痛む。
杏はまだ図書室にいる、でも息があるかどうかはわからない。どうしたらいいかわからない。
八歩塞がりの状況に置かれた今、どうしたらいいの?