第45話

四十話 "必要"とされたかった者
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2024/05/06 03:00
視点:初兎


もう俺の周りに「化け物」「悪魔の子」「忌み子」だと言う人はいない。

今の俺の周りには、俺を必要としてくれる人たちがいる。
俺を人間として見てくれる人たちがいる。
俺を信じてくれる人たちがいる。
俺を…家族の一員のように思ってくれる人がいる。

だから、俺はもう大丈夫。
自信をもって生きられる。
自分は人間だと、胸を張れる。

例え、再び先祖返りが起きて、魔物になる事があったとしても。
きっとみんなが俺を救ってくれる。
俺だって、魔物の自分に負けるつもりはない。
これから先の未来だって、みんなと一緒にいたいから。


目の前に、血だらけでボロボロな僕が見える。
うずくまり、泣きじゃくる、幼い頃の僕が見える。

〔痛い…辛い、苦しい……寂しい…〕
初兎
…大丈夫や。大人になれば、生きていれば、何よりも大切な存在に出会える
初兎
だから今は……生きて欲しい。近い未来で、幸せになるために…ッ
その言葉に反応した幼い頃の僕は、俺を見つめて泣きながら笑う。

〔大丈夫……僕はもう、幸せみたいだから…〕

そう呟いて、一瞬で姿を消した。
-hotoke-
 おーい、しょーさーん!!何ぼーっとしてるの?置いてくよ〜!!
初兎
今行く〜!!
……そうやな、幼い頃の俺。

俺は確かに幸せや。
そして、"僕"も幸せやった。

いむくんとの出会いが、これまでの幸せの始まり。
いむくんがいなければ、"僕"は"俺"にはなれんかった。

ほんと、頭が上がらんわ……
初兎
……これからもよろしくな、俺の親友
-hotoke-
何か言った〜?
初兎
いーや、なーんも?ほら、早よいこーや!!
-hotoke-
ちょっ、待ってよ〜!!




ーー孤独だった兎は、人の温もりと幸せな日々を噛み締める。








第三章 "必要"とされたかった者
                      終幕

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