第44話

三十九話 力の使い方
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2024/05/05 03:00
視点:初兎

あれから数日が経ち、俺らは日常へと戻っていた。

今日はまろちゃんに部屋へ来て欲しいと言われた。
2人で話すことなんて珍しいから何だろうと思いながら部屋をノックする。
初兎
まろちゃ〜ん、来たで?おーい
返事なし。
おらんのかな?でもまろちゃんが呼んだわけだし…
初兎
しゃーない…まろちゃん入るで?
そう言って部屋に入り、目に留まったのは……
初兎
…まろちゃん?
椅子に座りながら眠っているまろちゃん。
直前まで本を読んでいたのだろうか、足元に本が落ちている。

……なんか、珍しい風景やな。

てかこれ、起こしてええんやろうか…?
If
……ん…しょにだぁ…?
初兎
あっ…ま、まろちゃん…おはよう
If
あー…ごめん、俺が呼んだのに寝てもうた……
初兎
ええよええよ。珍しいなぁ、まろちゃんが居眠りしてるの
If
そう…?
初兎
おん
いむくんとか、寝落ちしたないちゃんとかは見たことあるけど、まろちゃんが俺らの前で寝てるのは見た事ない。

それに……いや、今は辞めとこう。
それよりも、
初兎
ところで、俺に何か用?
If
あーうん…ちょっと大事な話
「そこ座って」と言われたので、ベッドの上に座る。
If
話っていうのは……先祖返りの事
以前、俺が暴走した時に起こったことだと聞いている。
If
まず簡単に、今の初兎の現状について
If
今の初兎は、実のところ人間と魔物のハーフ的な立ち位置にいるんよ
初兎
人間と魔物の、ハーフ…?
If
そう。だからもしまた先祖返りが起きたら…その時は完全に魔物になる可能性がある
初兎
そうなんか…
If
でも逆に、俺の魔法を使えば人間に戻る事も出来るし、その力の使い方さえ分かればそのままでいる事も出来る
初兎
そのままでもいられるん?
If
うん。ただそのためには、自我を失わずに魔物の力を扱えるようにならなくちゃいけない。相当な時間がかかるし、結構キツイと思う
If
……初兎はどうしたい?
初兎
俺は……
人間に戻れば、きっともう自我を失い、暴れる事はなくなる。
今のままでいたら、いつか再び先祖返りが起きた時に魔物になるかもしれない。

……でも、訓練さえすれば、魔物の力を使いこなせるかもしれない。
初兎
……俺は、このままでいたい。この力を、自分の物にしてみせる
If
…ええの?結構大変やぞ?
初兎
俺はもっと強くなりたい。みんなを守れるくらい強く。そのためなら、どんな手段でも使う
初兎
魔物の力、バッチリ使いこなしてやんよ!!
If
……そこまで言うんなら大丈夫やな
If
週に一回、ギルドの訓練場に行って指導を受けてきいや。俺から伝えとく
初兎
ありがとう、まろちゃん
If
ええよ。あっその訓練、俺も付き合うから
初兎
えっ…まろちゃんもおるん……?
If
俺、優しくする気はないから頑張れよー
…マジかよ。俺生きていけるんかな…
If
まぁ頑張りや。てことで話は終わり!!急にごめんな?
初兎
ええんよ。むしろありがとうな!これから頑張るわ
初兎
じゃあ俺もう行くな!いむくんと買い物行く約束してるんよ
If
行ってらっしゃーい。喧嘩すんなよ〜
初兎
だいじょーぶやって!じゃ、行ってきまーす!!
案の定いむくんとプチ喧嘩になったのはまた別の話。
ちゃんと仲直りしたし、その後一緒にシュークリーム食べたから大丈夫よな?

でも、これこそ喧嘩するほど仲が良いってやつだと思うんよ。
俺はいむくんの事大好きやし、いむくんも俺の側にいてくれる。

そしてこの関係は、未来永劫変わることはないって信じてる。

でも…いむくんだけやなくて、他のみんなのことももっと知りたいなぁ……

いつか、知れるだろうか……
特に…









薄らと見えた、まろちゃんの隈の事とか…












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