第2話

テレビの報道
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2024/01/02 12:36
 デュースは玄関で目を覚して飛び起きた。ハッ今何時だ?!急いで腕時計を確認する。…良かった、まだ5時59分だ。まだ仕事の時間まで少し時間がある。もうひと眠りしてしまおうか…。
デュース
イテテ…
腰が痛み、思わずさする。もう歳かな…、まだ26のはずなのだが…。いや、玄関で寝ていたからか。それだけでは無い。汗でベトベトして気持ちが悪い。これでは穏やかに眠ることもできないな。
まだ体に疲れが残っている。最近仕事が忙しい。昨日も麻薬の売人を夜中に追っかけまわひていた。 デュースは冬眠明けの熊の如く、のっそのっそとシャワールームへ歩いていく。途中転びそうになったが何とか堪えた。こういう時学生時代に陸上をやっていて良かったなと思う。
学生時代…そういえばこういう時決まってエースがからかってきた。なんなら足を引っ掛けてわざと転ばそうとしてきた時もあったな。そうしたら二人で取っ組み合いの喧嘩になって、その度にクリムが茶化してユウが仲裁に入った。
思い出して顔が綻ぶ。 当時はなんてことない瞬間だっが、大人になって思い返して見ると、心臓の辺りがふわりと優しく温かくなる。二人と一匹は今でも元気だろうか。しばらく会えていない。


にしても暑い。今年は猛暑らしい。早くこの不快感から解放されたい。そう急いで服を脱ぎ、シャワーを浴びる。水が冷たい。だが朝の眠気覚ましにはこれくらいが丁度良いな。いや、むしろ気持ちいい。
今日はケイト先輩がマジカメですすめていたスースーするシャンプーを使ってみようか。ネイビーの短髪にあわだてる。おお…!!スースーする!
普段はシャンプーは違いが分からず、特にこだわりがない。なので適当に買ったものを使っているが、流石ケイト先輩!これは違う。スースーして頭がなんだか涼しく感じる。これは夏にピッタリだ!今度ケイト先輩に会ったらお礼を言おう。わしゃわしゃ。
ばあーと洗い流して、パンツ一丁洗面台の前に立つ。寮生時代、トレイ先輩が歯磨きにうるさくて、デュース自身も歯磨きに関してはNRCに来る前よりも神経質になったように思う。卒業した今でも朝昼夜の歯磨は欠かさない。もちろん歯磨き粉はうさちゃん印の「クリミカ わくわく歯磨き いちご味」だ。トレイ先輩が虫歯がない人たちはみんなこれを使っていると教えてくれた。それだけ効果のある、凄い隠れ商品なのだと。それから僕はずっとこれを使っている。今年で10年目だ。シャカシャカ。
グシュグシユぺー、口をゆすいで制服を着る。ナイトレイブンガレッジのでは無い、魔法執行官の制服を。
この瞬間が好きだ、 ギュッと目を瞑って口を結ぶ。こうでもしないと嬉しさで声が出てしまうから。
とても大変だった。覚悟はしていたけど、魔法執行官への道は本当に。沢山間違えたし、失敗したし、バカにされる時もあった。だが間違えたら直せば良いし、失敗したならもう一度やればいいし、バカにされたなら夢を叶えて見返せば良い。そう頑張れたのはきっとー
「優等生だって怒るときもあるよ」
こんな自分を認めて、そばに居てくれたマブ達がいたから。
励ましてくれた先輩がいたから。
リドル
分からないところがあったら、ボクのところに来るといい
凄い厳しかったけど、寮のことを一番に考えてくれて支えてくれた。誰よりも努力して得た結果と自信と威厳が僕の憧れの寮長
リドル・ローズハート

リビングに広がる朝の柔らかな光に包みまれ、深呼吸をした。肺が夏の匂いで満たされる。スーハー。
席に座ってテレビをつける。それを見ながら朝ごはんを食べる。美味しい。朝ごはんを食べるなんていつぶりだろう?最近は薬物乱用者が多くて忙しい。
ああ、皆に会いたい。皆はどうしているのだろう。またたくさん笑って、ケーキを食べたい。不味かったけどしょっぱいいちごタルトでもいいな。仕事がおちついたら連絡してみようか。またみんなで集まって、飲みにでも行かないかって。そしたらそれに合わせて休みもとって…
テレビ
ー次のニュースです。今朝7時20分ごろ、薔薇の街の民家で遺体が見つかりました。遺体は魔法医術士 リドル・ローズハート(27)のものと見られ、警察は殺人事件として捜査しています。現在犯人は捜索中です。ー

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