タッタッタッタッ
僕は彼女に早く会いたくて走った
場所は水族館
水族館につくと写真を撮っている彼女と、藤澤がいた

あ!かわいい!

今日遅れたお詫びに僕が買うよ

ほんと?

じゃあ…これ!

お揃いでつけようよ!

ペアで!

ペアで?

お詫びでしょ?

…いいよ

やった♩

……

じゃあね!

うん

また明日

大森、なんか変わったね

え?そう?

前はもっと冷めた感じで綾華のことも好きじゃないのかと思ってた

………

今は

山中の毎日をとにかく楽しいものにしたいんだ

……

綾華が、覚えていられなくても?

うん

そう決めたから

そっか
次の日の放課後

__ねぇ、芥川賞の発表って今日の夜だよね?

あ…!うん

そっか

ねぇ!せっかくだし、みんなで発表待とうよ

いいけど…どこで?

例えば…

私の家とか?

え?

え?

ほら!うちが1番近いし

ね?

OK

そうと決まれば…大森!行くよ!

え?え…ちょっと!

お父さんいるんじゃない?

彼氏できたら発狂するとか言ってたよね?

言ったっけ?

なんて挨拶したらいいんだろう…

大丈夫

あんたは挨拶しなくていいシステムだから

だからそのシステムって!?

聞いてる!?

無視しないでよ〜!

おじゃましまーす

おじゃましまーs

あ!急いで片付けるから、ここで待ってて

え…?え?ちょっと?

プリン買ってきました〜♩

え〜!すごいじゃない!

なかなか混んでて買えないところなのに…!

ありがとね〜!涼ちゃん
僕は彼女の指示に従い、静かに彼女の部屋に入った

どうぞ

おじゃましまーす…
僕は彼女のリュックにつけてあるキーホルダーを見つけた

………
2人が部屋に入ってきた

これ

鞄につけたんだ

僕はさ…

家の鍵につけたよ

………

………

なんだっけ……

……!

ほら!水族館行った時のだよ!

あぁ…そっかそっか…!

ねぇこのペンギン少し大森に似てない?

そ、そうかな?

ごめん!

プリンのスプーン忘れたからちょっと取ってくる…
そう言って彼女は出て行ってしまった

……ごめん

………

やっぱり今日は帰ろうかな

夕飯も作んなきゃいけないし

逃げんの?
藤澤は僕の腕を掴んだ

覚悟してたんじゃないの?

こんなことも
藤澤は彼女のベッドにある布団を剥いだ

……!!!
するとそこには、大量の日記やメモがあった

綾華はさ

毎朝これ見てたまらない気持ちになってるはずなの

でも日記を読んで自分を奮い立たせてる

絶望と向き合っていつも笑ってる

絶対に逃げないんだよ

………

決めたんじゃなかったの?

そんな綾華の毎日を楽しくするって

………
そうして、芥川賞の発表が始まった
結果は
姉さんが受賞をした
家に帰ると、父さんも受賞の瞬間を見ていた

元貴…!

この、西川文乃って…

知ってたのか?

……知ってたよ

なんだ……そうだったのか

早苗は小説家になるためにこの家逃げ出したんだな

……

姉さんは

僕や父さんとは違うよ

何が違うんだ?

姉さんは逃げていったんじゃない

向かっていったんだ

自分の人生に

だから…

だから早苗は俺のことバカにしてたんだなぁ…

父親としても小説家としてもダメな俺のこと

ずっと見下してたんだなぁ…

ッ……!!!!!
僕は父さんに何も書いていない原稿用紙を見せた

どこが小説家だよ

母さんが死んでから、ずっと逃げたままじゃないか!!!!!!

元貴…お前!!!

ッ……!!!

僕はもう…

逃げるのは嫌なんだッ……

元貴…?

私が小説を書こうと思ったのは

お父さんの影響なの

初めは

今の自分から逃げたくて書いてた

でもある時からそうじゃなくなった

書くことで

自分自身の言葉を通して

誰かと繋がれるかもしれないって

そう思うようになったの

お父さんは

ずっとお母さんのために、小説書いてたんでしょ?

………

楽しそうに読んでるお母さんが

私は好きだった

あの時…

もっとちゃんと悲しめばよかったんだな…

あまりにも突然だったから…

父親なのに…

お前たちには

迷惑かけた…ほんとに…

でも僕は

父さんに感謝してる

ずっと僕らを育ててくれたじゃん

それに

今もそばにいてくれてる

父さんは立派な父さんだよ

………
僕は父さんが泣いているのをただただ黙って見ていた
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