第7話

あなたにあげるこの僕の全て
1,118
2024/08/19 06:25 更新
          タッタッタッタッ
  



     僕は彼女に早く会いたくて走った



        


         場所は水族館





水族館につくと写真を撮っている彼女と、藤澤がいた






山中綾華
山中綾華
あ!かわいい!
大森元貴
大森元貴
今日遅れたお詫びに僕が買うよ
山中綾華
山中綾華
ほんと?
山中綾華
山中綾華
じゃあ…これ!
山中綾華
山中綾華
お揃いでつけようよ!
山中綾華
山中綾華
ペアで!
大森元貴
大森元貴
ペアで?
山中綾華
山中綾華
お詫びでしょ?
大森元貴
大森元貴
…いいよ
山中綾華
山中綾華
やった♩
藤澤涼架
藤澤涼架
……




山中綾華
山中綾華
じゃあね!
藤澤涼架
藤澤涼架
うん
大森元貴
大森元貴
また明日






藤澤涼架
藤澤涼架
大森、なんか変わったね
大森元貴
大森元貴
え?そう?
藤澤涼架
藤澤涼架
前はもっと冷めた感じで綾華のことも好きじゃないのかと思ってた
大森元貴
大森元貴
………
大森元貴
大森元貴
今は
大森元貴
大森元貴
山中の毎日をとにかく楽しいものにしたいんだ
藤澤涼架
藤澤涼架
……
藤澤涼架
藤澤涼架
綾華が、覚えていられなくても?
大森元貴
大森元貴
うん
大森元貴
大森元貴
そう決めたから
藤澤涼架
藤澤涼架
そっか





        次の日の放課後
藤澤涼架
藤澤涼架
__ねぇ、芥川賞の発表って今日の夜だよね?
大森元貴
大森元貴
あ…!うん
山中綾華
山中綾華
そっか
山中綾華
山中綾華
ねぇ!せっかくだし、みんなで発表待とうよ
大森元貴
大森元貴
いいけど…どこで?
山中綾華
山中綾華
例えば…
山中綾華
山中綾華
私の家とか?
大森元貴
大森元貴
え?
藤澤涼架
藤澤涼架
え?
山中綾華
山中綾華
ほら!うちが1番近いし
山中綾華
山中綾華
ね?
藤澤涼架
藤澤涼架
OK
藤澤涼架
藤澤涼架
そうと決まれば…大森!行くよ!
大森元貴
大森元貴
え?え…ちょっと!





大森元貴
大森元貴
お父さんいるんじゃない?
大森元貴
大森元貴
彼氏できたら発狂するとか言ってたよね?
山中綾華
山中綾華
言ったっけ?
大森元貴
大森元貴
なんて挨拶したらいいんだろう…
藤澤涼架
藤澤涼架
大丈夫
藤澤涼架
藤澤涼架
あんたは挨拶しなくていいシステムだから
大森元貴
大森元貴
だからそのシステムって!?
大森元貴
大森元貴
聞いてる!?
大森元貴
大森元貴
無視しないでよ〜!





藤澤涼架
藤澤涼架
おじゃましまーす
大森元貴
大森元貴
おじゃましまーs
山中綾華
山中綾華
あ!急いで片付けるから、ここで待ってて
大森元貴
大森元貴
え…?え?ちょっと?
藤澤涼架
藤澤涼架
プリン買ってきました〜♩
山中敬子
山中敬子
え〜!すごいじゃない!
山中浩司
山中浩司
なかなか混んでて買えないところなのに…!
山中敬子
山中敬子
ありがとね〜!涼ちゃん




 僕は彼女の指示に従い、静かに彼女の部屋に入った
山中綾華
山中綾華
どうぞ
大森元貴
大森元貴
おじゃましまーす…



僕は彼女のリュックにつけてあるキーホルダーを見つけた
大森元貴
大森元貴
………
      2人が部屋に入ってきた
大森元貴
大森元貴
これ
大森元貴
大森元貴
鞄につけたんだ
大森元貴
大森元貴
僕はさ…
大森元貴
大森元貴
家の鍵につけたよ
山中綾華
山中綾華
………
大森元貴
大森元貴
………
山中綾華
山中綾華
なんだっけ……
藤澤涼架
藤澤涼架
……!
藤澤涼架
藤澤涼架
ほら!水族館行った時のだよ!
山中綾華
山中綾華
あぁ…そっかそっか…!
藤澤涼架
藤澤涼架
ねぇこのペンギン少し大森に似てない?
大森元貴
大森元貴
そ、そうかな?
山中綾華
山中綾華
ごめん!
山中綾華
山中綾華
プリンのスプーン忘れたからちょっと取ってくる…


    そう言って彼女は出て行ってしまった
大森元貴
大森元貴
……ごめん
藤澤涼架
藤澤涼架
………
大森元貴
大森元貴
やっぱり今日は帰ろうかな
大森元貴
大森元貴
夕飯も作んなきゃいけないし
藤澤涼架
藤澤涼架
逃げんの?



      藤澤は僕の腕を掴んだ
藤澤涼架
藤澤涼架
覚悟してたんじゃないの?
藤澤涼架
藤澤涼架
こんなことも



   藤澤は彼女のベッドにある布団を剥いだ
大森元貴
大森元貴
……!!!




  するとそこには、大量の日記やメモがあった
藤澤涼架
藤澤涼架
綾華はさ
藤澤涼架
藤澤涼架
毎朝これ見てたまらない気持ちになってるはずなの
藤澤涼架
藤澤涼架
でも日記を読んで自分を奮い立たせてる
藤澤涼架
藤澤涼架
絶望と向き合っていつも笑ってる
藤澤涼架
藤澤涼架
絶対に逃げないんだよ
大森元貴
大森元貴
………
藤澤涼架
藤澤涼架
決めたんじゃなかったの?
藤澤涼架
藤澤涼架
そんな綾華の毎日を楽しくするって
大森元貴
大森元貴
………











    そうして、芥川賞の発表が始まった












          結果は













        姉さんが受賞をした










  

   家に帰ると、父さんも受賞の瞬間を見ていた
大森幸彦
大森幸彦
元貴…!
大森幸彦
大森幸彦
この、西川文乃って…



大森幸彦
大森幸彦
知ってたのか?
大森元貴
大森元貴
……知ってたよ
大森幸彦
大森幸彦
なんだ……そうだったのか
大森幸彦
大森幸彦
早苗は小説家になるためにこの家逃げ出したんだな
大森元貴
大森元貴
……
大森元貴
大森元貴
姉さんは
大森元貴
大森元貴
僕や父さんとは違うよ
大森幸彦
大森幸彦
何が違うんだ?
大森元貴
大森元貴
姉さんは逃げていったんじゃない
大森元貴
大森元貴
向かっていったんだ
大森元貴
大森元貴
自分の人生に
大森幸彦
大森幸彦
だから…
大森幸彦
大森幸彦
だから早苗は俺のことバカにしてたんだなぁ…
大森幸彦
大森幸彦
父親としても小説家としてもダメな俺のこと
大森幸彦
大森幸彦
ずっと見下してたんだなぁ…
大森元貴
大森元貴
ッ……!!!!!


  僕は父さんに何も書いていない原稿用紙を見せた
大森元貴
大森元貴
どこが小説家だよ
大森元貴
大森元貴
母さんが死んでから、ずっと逃げたままじゃないか!!!!!!
大森幸彦
大森幸彦
元貴…お前!!!
大森元貴
大森元貴
ッ……!!!
大森元貴
大森元貴
僕はもう…
大森元貴
大森元貴
逃げるのは嫌なんだッ……




大森早苗
大森早苗
元貴…?






大森早苗
大森早苗
私が小説を書こうと思ったのは
大森早苗
大森早苗
お父さんの影響なの
大森早苗
大森早苗
初めは
大森早苗
大森早苗
今の自分から逃げたくて書いてた
大森早苗
大森早苗
でもある時からそうじゃなくなった



大森早苗
大森早苗
書くことで
大森早苗
大森早苗
自分自身の言葉を通して
大森早苗
大森早苗
誰かと繋がれるかもしれないって
大森早苗
大森早苗
そう思うようになったの
大森早苗
大森早苗
お父さんは
大森早苗
大森早苗
ずっとお母さんのために、小説書いてたんでしょ?
大森幸彦
大森幸彦
………
大森早苗
大森早苗
楽しそうに読んでるお母さんが
大森早苗
大森早苗
私は好きだった
大森幸彦
大森幸彦
あの時…
大森幸彦
大森幸彦
もっとちゃんと悲しめばよかったんだな…
大森早苗
大森早苗
あまりにも突然だったから…
大森幸彦
大森幸彦
父親なのに…
大森幸彦
大森幸彦
お前たちには
大森幸彦
大森幸彦
迷惑かけた…ほんとに…
大森元貴
大森元貴
でも僕は
大森元貴
大森元貴
父さんに感謝してる
大森元貴
大森元貴
ずっと僕らを育ててくれたじゃん
大森元貴
大森元貴
それに
大森元貴
大森元貴
今もそばにいてくれてる
大森元貴
大森元貴
父さんは立派な父さんだよ

大森幸彦
大森幸彦
………





僕は父さんが泣いているのをただただ黙って見ていた

プリ小説オーディオドラマ