カフェを出て、夕暮れのしっとりと風の吹く海沿いを歩く。
隣におんりーがいる幸せを、そっと噛み締めた。
海岸の見える階段で止まると、私はそこへ腰掛けた。
海を見ていると、隣におんりーも腰掛ける。
波が浜辺に寄せては返し、癒しの音を届ける。
赤いポピーの押し花を見て、彼は問いかけた。
海風に、髪が揺れる。
あなたは、膝を抱えるようにして少し改まった。
そのまま、言葉を探すのに必死になって息が止まってしまう。
胸の鼓動が速まって、少しの沈黙が流れる。
その様子を見たおんりーは、真っ直ぐあなたを見た。
なんだろうか、と彼の顔を見て言葉を待つ。
こちらに体を向け、さっきの真っ直ぐな視線は下に落ちていた。
その言葉の意味を理解すると共に、顔に熱が集まる。
伏せた目の長いまつ毛に見とれて。
彼との不思議な思い出の中に確かに思い出せる、あの時伝わった熱がある。
彼にこんな事を言わせるなんて、営業妨害もいいところだ。
しかし、今は実況者のおんりーではない、一人の男として彼女に向き合っているのだろう。
その視線はまた真っ直ぐ、あなたの言葉を待っていた。
あなたも彼の方へ体を向け、彼を見た。
そしてそっとその手の上に、自分の手を乗せる。
緊張で冷たい手…静かな海辺、波の音が囁く。
時がゆっくりと流れている気がした。
そう言うと、彼は見たこともないような感情のこもる表情で、そっとあなたを包み込んだ。
あなたはおんりーに体重を預ける。
赤いポピーの花のごとく、高鳴る胸の音とおんりーの安らぐ香りの間に揺れている。
夕日が海に消え、重なる二人の影は藍色の中に消えていった。















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。