第2話

学校と言う名の地獄【2】
56
2021/12/26 05:36
先生
先生
転校生を紹介する
立て付けが悪く、開けっ放しのドアをくぐって教室に入ってきたのは
綺麗な黒髪ウルフカットの襟足をみつあみに結い
宝石のようなエメラルドグリーンの瞳をした女。
制服はスラックスで、白黒のパーカーを着ている
そして何より、目の周りが真っ赤だ。
先程まで泣いていたんだろう。
彩音
彩音
翡翠ひすい 彩音あやねです
彩音
彩音
Xジェンダーです、よろしくお願いします
えっくすじぇんだあ???
俺だけではなく、周りのヤツらも不思議そうな顔をしたり首を傾げる。
彩音と名乗った女はチョークを手に取り、黒板にアルファベットを書く。
大きく、綺麗な文字で【LGBTQ】と書かれている。
彩音
彩音
あまり興味無いかもしれないけど、聞いて欲しいです
彩音
彩音
Lはレズビアン、女性を好きになる女性
彩音
彩音
Gはゲイ、男性を好きになる男性
彩音
彩音
Bはバイセクシャル、男性も女性も好きになれる人
彩音
彩音
Tはトランスジェンダー、体と心の性別が一致しない人
彩音
彩音
そしてQはクエスチョニング、自分の性別がわからない、決めたくない人です
彩音
彩音
僕はQに所属するXジェンダー、並びにBに所属するバイセクシャルです
彩音
彩音
もっと詳しく説明することも出来るんですけど、この話を好む人はあまりいないのでこの辺で
彩音
彩音
……気持ち悪いと思うかもしれないけど、仲良くしてくれると嬉しいです
不完全という言葉が似合いそうな、泣きそうで物足りない笑顔でお辞儀をする女。
俺は耐えきれず、聞いてしまった。
コネシマ
コネシマ
お前、何で目ェ赤いん
コネシマ
コネシマ
泣いたんか
女は唇をかみ締めたあと、答えた。
彩音
彩音
僕には双子の兄がいます、一緒に転校してきました
彩音
彩音
兄は一般クラスに、僕は我々組ここに連れてこられました
彩音
彩音
理由は……っ、僕が【普通じゃないから】だそうです
彩音
彩音
兄は勉強も運動も、なんでも出来ますが
彩音
彩音
僕は全て普通レベル、おまけに周りとは違う生き方をしています
彩音
彩音
そのせいでバラバラにされてしまいました
女は俯く。
俺は女の話に納得がいかなかった。
コネシマ
コネシマ
おかしいやろ、それ
コネシマ
コネシマ
普通ってなんやねん、普通と違ったら一緒におったらあかんのか
コネシマ
コネシマ
そんなこと言うたん誰や
女は俯いたまま。
隣の席の大先生がまぁまぁ、と宥めてくる。
コネシマ
コネシマ
理事長か
それに反応するようにびくっと肩を跳ねさせる。
理事長の勝手な判断、という点で我々組の生徒は全員目付きを変えた。
安心せぇ、彩音
今日からお前も、俺らの仲間や

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