今日は地元のお祭り。
夏休み入る前から約束をしていた。
浴衣で、と。
自分は気付かぬうちに死装束になっていた。
彼女に指摘してくれたので
公衆トイレで直すことにした。
しかし彼女の浴衣はとてつもなく可愛かった。
水色の浴衣。思わず照れてにやけてしまった。
ずっとみていられる。幸せだ。
夜になった。
友達と遭遇し、打ち上げ花火を見に行くことに。
高台にある小学校の階段で。
そこの階段は急で、街灯もなく怖かった。
頑張って登った。
友達が煽る。
そこまでは行かなくとも
誰にも分からないように手を繋いだ。
座ってる距離も詰めた。
なんて幸せ。
私の人生、こんな幸せでいいのか。
そして花火も終わる。
みんな帰り始め、自分達も帰ることになった。
再びあの階段へ。
すると…
なんと、恋人繋ぎというものをしてくれた。
離したくない。
自分の手は汗ばんでいて、申し訳なかったけど。
その日は恒例の帰り際にハグは
友達の前でした。
<続>
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。