第74話

🧡ハル 多忙(体調不良) リク
1,086
2026/03/01 10:57 更新
ハルくんのリクエストが多いので続いておりますが、
楽しんでいてくださると嬉しいです☺️!




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ハルside


朝目を覚ました。
久々の休日。

確かここ1ヶ月、個人のドラマ撮影が詰まってて
メンバーのみんなにすら会えていないな〜
と感じながら、休みって何も無い日か。と改めて認識する。

それなのに、天井を見つめたまま動けなかった。


(やべー、詰め込みすぎてやらかしたか…?)


と不調なのを悟る。
が、今日は休日。助かった。



「明日はちゃんと休んでおけ。そろそろキツイぞ。」

昨日の夜、マネージャーから言われた言葉が
現実となって怖くもありつつ偉大だなと感じた。



いつもなら、
“次の仕事”の予定が頭の中にすぐ浮かぶ。
でも今日は、真っ白だ。
予定が何もない。
“何もしなくていい”という言葉が、
なぜか落ち着かない。




無意識にスマホを手に取る。
ロックを外すと、画面の明るさが目に刺さった。
グループLINEが一晩中、光っていた。


カイ「超チューバーの撮影いってきまーす!」
アロハ「朝5時集合とか鬼畜すぎっす」
シューヤ「温泉いくぞー!!」
タクヤ「おやすみ(車内から)」



ハルは、指を止めた。
みんなからの車内の写真とメッセージ。



そういえば今日から超チューバーの撮影で
1泊2日でドライブ旅行に行くと予定に書いてあった。


2週間くらい前までは自分も行くつもりだったが、
急遽の撮影スケジュールが詰まったことで、
メンバーから唯一外れてしまったんだった。



車の中でピースをするシューヤ、
後ろでタクヤが寝ようとしている。
その横から変顔をするリョウガ。
そのどれもが、ハルの知らない空間だった。



(いいなぁ、、楽しそうだな。)



グループに送ろうとした絵文字を消して、
そのまま画面を閉じる。
指先に残った光の余韻が、
やけに冷たく感じた。


マネージャーの声が頭の中で繰り返される。
「今回は、やめとけ。休め。」

優しい声なのに、
それが“置いていかれる”みたいで苦しかった。


ソファに体を沈める。
クッションの隙間に顔を埋めると、
少しだけ安心する。
けれど、胸の奥がきゅっと痛んだ。


(俺が居なくても楽しそうだな。)


そんな言葉を考えた瞬間、
喉の奥が熱くなる。
涙じゃなくて、息の詰まりだった。



テレビをつけて、チャンネルを回す。
音が流れているのに、何も入ってこない。
天気予報の声が聞こえる。


「明日は全国的に雨が強まるでしょう」



窓の外を見上げた。
どんよりとした曇り空が広がっていた。
カーテン越しの光が、白く淡い。
その光の中で、
自分だけが止まっている気がした。

小さくため息を吐く。
そして、口に出した。

「……俺、最近なんのために頑張ってんだろ。」

その声は、自分の部屋の中で小さく反響して、
すぐに消えた。






昼過ぎ。

カーテンの隙間から、薄い光が部屋に差し込んでいる。
その明るさが、逆にまぶしかった。
天気は悪くないのに、空が灰色に見える。
目を閉じても、
何か重たいものが胸の上に乗っている気がした。



ベッドの上でスマホを握ったまま、
何も考えずに時間が過ぎていく。

外から聞こえるのは、
近所の子どもの笑い声と、遠くの電車の音。


身体がだるい。
寝返りをうつと、関節がきしんだ。
腕を伸ばすと、
頭の奥がじんわりと痛む。

(風邪、かな……)

起き上がる気になれない。
それでもなんとなく、
冷蔵庫を開けてみる。


中にはペットボトルの水と、
半分残ったサラダだけ。

昨日の夜も、まともに食べていなかった。
食欲が湧かない。
代わりにお湯を沸かして、スープを作る。


湯気の匂いを嗅いだ瞬間、
少しだけ胃がきゅっとした。
スプーンを一口だけ口に運ぶ。
味は感じるのに、
何かが遠くにある。


テーブルにスマホを置いたまま、
またLINEが光る。
シューヤ「スノボめっちゃ良かったー!」
タクヤ「夜ご飯何?」
ユーキ「バーベキューらしいよ」

多分2台の車で移動してるから
予定を共有しあっているのを覗き見する。



シューヤ「こっちスタバ寄ったよー(写真)」



(あーーー、みんなキラキラしてる…。)


笑ってる。
みんな、笑ってる。

その笑顔を見た瞬間、
胸の奥が少しチリっとした。


(いいなぁ)


そう呟いて、スマホを伏せた。
ほんの一瞬、涙が浮かびかけて、
でもすぐ引っ込めた。


ソファに戻って天井を見上げる。
エアコンの音がやけに大きい。
時計の秒針が、耳の奥で響く。


(なんか、疲れたな……)


寝転んだまま、
手を胸に置いて深呼吸する。



体温を測ると37.5°C
空気が喉を通るたび
微熱のせいか体の内側がざらついた。


(明日は……撮影か。)


画面を見つめながら、
ハルはぼんやりと頷いた。

窓の外を見上げると、
もう空は夕方の色に変わっていた。
灰色の雲の奥に、
ほんの少しだけ青が覗く。


その青さが、
やけに遠く感じた。


ベッドに戻り、
枕に顔を押しつけて目を閉じる。
静かな部屋の中、
自分の呼吸だけが小さく響いた。

(今日が休みでよかった。)

そう思った瞬間、
何かが胸の奥で「コトッ」と音を立てた。

それが悲しみなのか、安堵なのか、
自分でも分からなかった。

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