hj side
先日届いた『高校ダンス部同窓会のお知らせ』と
書かれたハガキを片手に路地を歩く .
書かれている店の名前と、暖簾に書かれた
名前を確認してドアを引けば、懐かしい顔ぶれの中に
珍しい人が嫌そうな顔をしながら囲まれていた
もう既に始まっていたらしく、
店内はほんのりと酒の匂いと熱気が漂う
かくいう目の前で俺を迎えてくれた先輩も、
既に出来上がってしまっていた
手をひらひらとリノヒョンの方へ向けて
アピールしている先輩 .
アピールされているリノヒョンは、
心底嫌そうな顔をしていた
... まぁ、俺がリノヒョンでもさすがに嫌だな .
心の中で頷きつつも、酔っぱらってる先輩を
放置し、挨拶すべくリノヒョンの方へと近寄っていった
自分が酔っぱらって、あなたへと
迷惑をかけたことをもう1度謝る
こっちを見向きもしないでつーんと
一言発すると、 持っていたグラスを傾けたリノヒョン
そんな態度も、もう数年とあなたを
通じて受け続けていれば慣れてくるもので
もう怒ってないと理解した俺は、リノヒョンの
隣の空いている席へと座った .
・・・
しばらくすれば、酒を飲んでいる奴の
大半が酔っぱらってくる .
どんちゃん騒ぎになる周りなんて気にせずに
黙々とお酒を飲んでいるリノヒョンも
相当飲んでいるはずなのに、
全くそんな気配を感じさせない
ペースも一定で、考えてみればリノヒョンが
酔ったなんてこと聞いたことないな ...
もしかしたらあなたですら
見たことないかもしれない
酔ったらどんな風になるのかなーと、少し好奇心が疼く
それでもお酒を勧めようとしないのは、
バレたときの報復の怖さが想像出来ないぐらい
恐ろしいものだろうからだ
そんな考えを巡らせていた俺の側へ、勇者がやって来た
ゲラゲラと笑いながらリノヒョンに
話しかけるのは、最初に俺に話しかけてきた先輩
案の定というか、元々酔っていた先輩は
この数時間で完全に出来上がっていた
素でもかなり熱血だった先輩だから、
酔うと喧しいぐらい五月蝿い
そう言って無理矢理リノヒョンの
グラスにお酒を注げば、睨まれているにも
関わらずゲラゲラと楽しそうに笑っていた
グラスを持った手にキラリと光るそれを見つけて、
さらに先輩のテンションは上がる
一人で盛り上がっている先輩を無視した
リノヒョンはグラスに注がれた酒を
ゆっくりと飲み干していた .
… 先輩の被害がこっちに来ないうちに逃げようかな
そう思って席を移動しようとすれば
「どこ行くつもり ?」と鋭い目つきで
脅してくるリノヒョン .
びしびしと感じる「こいつを置いて逃げるな」
オーラに俺は大人しくその席へと座り直した
その言葉にピクリとリノヒョンの動きが止まる
笑いながらそう言った先輩に、俺は一人頭を抱えた
やばいぞ、これ下手したら殴られるんじゃ …
いや、下手しなくても殴られる !!!
恐る恐るリノヒョンへと目を向けた俺は、
目の前の光景に目を疑ってしまった
あのリノヒョンの顔がほんのりと紅潮して、
目がとろんと垂れている .
いつも見せるような怖いイメージの
リノヒョンの姿はそこにはなく、
それは目を擦っても変わることはなかった
成り立ってるようで成り立ってない会話に
何故だか俺の方がビクビクしていた
だいたい、なんでリノヒョンが
いきなりこんなに酔ってんだよ .
不思議に思ってリノヒョンのグラスの匂いを嗅げば、
もわっと香ってくる濃いアルコールの香り
さては先輩、強い酒を飲ませたな ...
それで先輩自身もあんなに酔っているのかと、
一人密かに納得していた
俺を挟んで繰り広げられる酔っ払いの言い合いに
体を縮こませる . だんだんとヒートアップしてきた
言い合いに気付いた人たちは、
普段あまり喋らないリノヒョンの饒舌を
一目見ようと俺たちを囲むかのように近寄ってきた















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。