第56話

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2025/03/01 09:07 更新












hj side






 先日届いた『高校ダンス部同窓会のお知らせ』と
 
 書かれたハガキを片手に路地を歩く .

 書かれている店の名前と、暖簾に書かれた

 名前を確認してドアを引けば、懐かしい顔ぶれの中に

 珍しい人が嫌そうな顔をしながら囲まれていた






 おージナじゃん  !  変わってねーなぁ 







 もう既に始まっていたらしく、

 店内はほんのりと酒の匂いと熱気が漂う

 かくいう目の前で俺を迎えてくれた先輩も、

 既に出来上がってしまっていた






hj
hj
 お久しぶりです 
 おう  !  あ、そうだ  ...  聞いて驚くなよ  ?  
 今日はなんとリノが初めて !
 初めて出席したんだ !! 








 手をひらひらとリノヒョンの方へ向けて

 アピールしている先輩 .

 アピールされているリノヒョンは、

 心底嫌そうな顔をしていた




 ... まぁ、俺がリノヒョンでもさすがに嫌だな .

 心の中で頷きつつも、酔っぱらってる先輩を

 放置し、挨拶すべくリノヒョンの方へと近寄っていった






hj
hj
 久しぶりです、リノヒョン  !
 あの、先日はご迷惑をかけました ... 







 自分が酔っぱらって、あなたへと

 迷惑をかけたことをもう1度謝る






lk
lk
 ...  別に 







 こっちを見向きもしないでつーんと

 一言発すると、 持っていたグラスを傾けたリノヒョン




 そんな態度も、もう数年とあなたを

 通じて受け続けていれば慣れてくるもので

 もう怒ってないと理解した俺は、リノヒョンの

 隣の空いている席へと座った .












・・・









 しばらくすれば、酒を飲んでいる奴の

 大半が酔っぱらってくる .

 どんちゃん騒ぎになる周りなんて気にせずに

 黙々とお酒を飲んでいるリノヒョンも

 相当飲んでいるはずなのに、

 全くそんな気配を感じさせない




 ペースも一定で、考えてみればリノヒョンが

 酔ったなんてこと聞いたことないな ...

 もしかしたらあなたですら

 見たことないかもしれない




 酔ったらどんな風になるのかなーと、少し好奇心が疼く

 それでもお酒を勧めようとしないのは、

 バレたときの報復の怖さが想像出来ないぐらい

 恐ろしいものだろうからだ




 そんな考えを巡らせていた俺の側へ、勇者がやって来た






 よう、リノ一  !  飲んでるかー  ? 







 ゲラゲラと笑いながらリノヒョンに

 話しかけるのは、最初に俺に話しかけてきた先輩

 案の定というか、元々酔っていた先輩は

 この数時間で完全に出来上がっていた







 んーなんだぁ  ?  無視か  ?  無視なのか  !? 







 素でもかなり熱血だった先輩だから、

 酔うと喧しいぐらい五月蝿い






 まぁ、これでも飲んで語ろうぜ 







 そう言って無理矢理リノヒョンの

 グラスにお酒を注げば、睨まれているにも

 関わらずゲラゲラと楽しそうに笑っていた






 あれ、もしかしてそれ、結婚指輪  ? 







 グラスを持った手にキラリと光るそれを見つけて、

 さらに先輩のテンションは上がる






 リノが結婚とか考えられねぇ  !  誰  ?  
 美人か ? それともかわいい系なのか !? 







 一人で盛り上がっている先輩を無視した

 リノヒョンはグラスに注がれた酒を

 ゆっくりと飲み干していた .

 … 先輩の被害がこっちに来ないうちに逃げようかな




 そう思って席を移動しようとすれば

 「どこ行くつもり ?」と鋭い目つきで

 脅してくるリノヒョン .




 びしびしと感じる「こいつを置いて逃げるな」

 オーラに俺は大人しくその席へと座り直した






 いや、でももしかしたら
 案外不細工だったりするのか ? 







 その言葉にピクリとリノヒョンの動きが止まる






 お前、学年の超可愛い子に
 告白されたときも即フったらしいし、 
 もしかしてブス専 ?







 笑いながらそう言った先輩に、俺は一人頭を抱えた

 やばいぞ、これ下手したら殴られるんじゃ …

 いや、下手しなくても殴られる !!!




 恐る恐るリノヒョンへと目を向けた俺は、

 目の前の光景に目を疑ってしまった




 あのリノヒョンの顔がほんのりと紅潮して、

 目がとろんと垂れている .

 いつも見せるような怖いイメージの

 リノヒョンの姿はそこにはなく、

 それは目を擦っても変わることはなかった






lk
lk
 ...  あなたが不細工  ? 
 へーぇ、お前の奥さんあなたっていうのか 
 どっかで聞いたことある名前だなー
lk
lk
 あなたはバカだけどブスではないよ 
 バカなのかー 







 成り立ってるようで成り立ってない会話に

 何故だか俺の方がビクビクしていた

 だいたい、なんでリノヒョンが

 いきなりこんなに酔ってんだよ .




 不思議に思ってリノヒョンのグラスの匂いを嗅げば、

 もわっと香ってくる濃いアルコールの香り

 さては先輩、強い酒を飲ませたな ...

 それで先輩自身もあんなに酔っているのかと、

 一人密かに納得していた






 なーなー、その『あなた』の 
 写メとかねーの ? 
lk
lk
 気安く呼び捨てしないでくれる  ? 
 え、ねーの  ?  それか、本当に
 不細工だから見せらんないの ? 







 俺を挟んで繰り広げられる酔っ払いの言い合いに

 体を縮こませる . だんだんとヒートアップしてきた

 言い合いに気付いた人たちは、

 普段あまり喋らないリノヒョンの饒舌を

 一目見ようと俺たちを囲むかのように近寄ってきた











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