様々な種族の住人が街を行き交う
その光景はとても楽しげで、この国のトップとしておりたっているオレンからすれば嬉しい限りのことだった
王様とバレないように隅っこの方へいき、顔を隠しながら移動する
しかし、その目には好奇心が隠しきれていなかった
特にいくあてもなく、ブラブラと歩いていく
行き交う人の笑顔を見、空を見上げ、また進む
それを何度も繰り返していた
その時
おねが、いっ…!やめ"ッろ!そのわずかなこえをオレンは聞き分けた
今まで戦ってきた経験で得たゆえの聴力か、はたまた神様がそうなるように導いたのか
そのかすかな悲鳴がどこから聞こえてくるのかをオレンははっきりと理解することができた
大きな音をたてないように気をつけながらオレンは人影を、やがては薄暗い路地裏を抜ける
その先にその姿はあった
そこにいたのはやせ細った一人の人間に現在進行系で人間のものと思わしき物を奪っている人外
そんな現場を王様として、人間としてただ呆然として見ているわけにはいかなかった
人間をかばうような体制を取りつつ、オレンの拳はきれいにその人外へとクリーンヒットする
しかし、やはり人外故の体力か、耐久力か
あまり効いているようには見えなかった
相手のことなんぞ、この人間のことなんぞまったくもって考えていないような発言
心無い言葉
そして、深く染み付いて未だ離れていない人外から人間へ向けての差別的思想
分かってた
光あるとこには闇がある
全てが完璧になんてできるわけがない
オレの国だからといって全ての差別や闇をなくすことはできない
でも、オレだって人間だ
そんなに人間に対しての差別を言われたら…
そう声を荒げると同時にこちらへと向かって人外は突撃してくる
今の状況にも落ち着いて、短く深呼吸をする
そして懐から一枚の紙を取り出す
人外がすぐそこまで迫ってくるが、オレンは焦らなかった
そして、唱える
そう唱えた瞬間、紙は…いや、“御札”はオレンジ色の光をまとった鎖へと形を変える
そして、その人外に巻き付く
そういってどこか光沢があるように感じる黄色い髪を揺らした人間は、笑った
その笑顔にオレンは見覚えがあった
見たことない、しらない人なはずなのにも関わらずに












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。