────それから、何かと慧音から話しかけられるようになってきた。
今までの " 信頼できる強い理解者 " とは、それ以上でもそれ以下でも、それ以外でもなんでもないそんな関係。
それでもそのままで私は良かったし、慧音もそれで満足していると思っていた。
別に、今までの関係はすごく心地よくて、むしろ大好きだった。
それでも────どこか" 足りない "って思ってしまってる。
あれ、私たちってどういう関係だっけ?
わからない。
わからないわからないわからない。
……堕とすとか、信じてしなければ。
しなければ、きっと今までの関係で満足していたのに。
怖い怖い怖い怖い。わからないわからないわからないわからない。
慧音はこんなこと気にしてない。
ただの一" 友人 "として。
きっと私がどうかしてる。
私が、私が、私がおかしいんだ。
『堕とす』だなんてハッキリと、でも抽象的に。
八雲紫、いやあの大賢者がいなければきっとこの感情には気づいていなかっただろう。
気づかなくてよかったのに。
あのままの私でいたかった、すごく、すごい。
……これでよかったのか、今の時点で悩んでるだなんて……。
ベチっ、と頬に手が飛び込む。
軽くのビンタってやつをされたということ。
急にビンタなんて人としてどうかと、なんてことを口にしようとしたら、慧音が不服そうな顔でこちらを見つめてきた。
はっ、と思わず声に漏れてしまった。
咄嗟にそう言ってしまって、慌てて口をつぐむ。
でも慧音は案の定「うるさい」と目を細めていた。
何も考えずに、ねぇ。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。