第2話

美しい者
809
2021/09/01 01:50
坂田side
坂田 明
坂田 明
お、来たか。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
おー。で、どいつ?
坂田 明
坂田 明
まだ来て…(カランカラン)
あ、らっしゃっせー!
あいつだ。噂をすればやってくる。
またマスクつけて…ほんとに表情が分からない。
坂田 明
坂田 明
あいつ。ヒソッ
黄百合 センラ
黄百合 センラ
OK。
俺は入ってきた男のとこに注文を取りに行く。
坂田 明
坂田 明
お客様。ご注文は?
浦田 渉
浦田 渉
…(メニューゆびさしす。)
坂田 明
坂田 明
以上で?
浦田 渉
浦田 渉
コクン
坂田 明
坂田 明
かしこまりました。
月崎 志麻
月崎 志麻
…ほんとに無口やな。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
おん。おもしれぇ。
俺が戻ってくると、志麻くんとセンラが入れ違いで彼の席に向かった。
月崎 志麻
月崎 志麻
おにーさん!
浦田 渉
浦田 渉
…チラッ
黄百合 センラ
黄百合 センラ
おにーさんかっこいいよね、ねぇどこ住み?
彼は少し考えたあと、店の外を指さした。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
え?そこのマンション?
浦田 渉
浦田 渉
フルフル
月崎 志麻
月崎 志麻
ここら辺てこと?
浦田 渉
浦田 渉
コクン
月崎 志麻
月崎 志麻
ほぉーん(わかるか!!!!)
黄百合 センラ
黄百合 センラ
じゃあじゃあ〜
センラが質問攻めにするが彼は一切動じない。マスク越しの口も動かない。
坂田 明
坂田 明
はいご注文の。ごめんね、こいつら俺の友達なんだ。
お前らあんま困らせんなよ。
黄百合 センラ
黄百合 センラ
困らせてないよ〜。な?
浦田 渉
浦田 渉
コクン
彼がマスクに手をかけた。

そういや、俺こいつがマスクとった顔見た事ないな…
3人でそっと見守る中、彼のマスクが取れた。
彼の顔を見た途端全員が息を飲んだ。
本当に綺麗な子だ、と俺は思った。じっと見ていると心のいちばん深い部分に小さな石を投げ込まれたような気がする。そういう種類の美しさなのだ。
大きな緑の瞳にすっきりとした鼻筋、紅薔薇を思わせる赤い唇。
俺は…いや、女でもここまで美しい者は見たことがなかった。
すると、今まで気にもしてなかった彼の体も、とても美しいものに見えてきた。

血管の浮くような細い腕や足はすらりと長く、全身がきゅっと小さく、彼はまるで神様が美しくこしらえた人形のような端整な外見をしていた。
ここまで…容姿で神に恵まれたものがいようとは…
坂田 明
坂田 明
(あぁ…もうほんとにこうゆうの見るとさ…)
―ぐちゃぐちゃに犯したくなる―
この美しさを、跡形もなく消し去りたくなるんだ。
それは俺も、志麻くんもセンラも同じ。

にやりと不気味に笑ったことは彼には見えなかっただろうな。
月崎 志麻
月崎 志麻
おにーさん、名前は?
浦田 渉
浦田 渉
た…る…
黄百合 センラ
黄百合 センラ
え?なんて?
浦田 渉
浦田 渉
浦田…渉…
か細いが、初めて聞いた彼の声。
天女が本当にいたなら、このような声なのだろうか。
月崎 志麻
月崎 志麻
へぇ、うらたくんさ、この後飲み行かない?俺もっとうらたくんと話したいなぁ。
浦田 渉
浦田 渉
…コクン
黄百合 センラ
黄百合 センラ
よっしゃ!じゃあそれ食い終わったら行こーぜ!坂田はどうする?
坂田 明
坂田 明
じゃあ俺も行く〜
下地はできた。ここからが俺らの本当の仕事だ。

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