第7話

セイレーン
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2018/08/15 11:42

その日は再び海に行くことはなかった。


…いや、だってさ?

なんかその…思い出しちゃうってゆーか?

こー…ほら、あのー…あれをね?

頭の中ぐるぐるするってゆーか。


…とにかく!行けなかったんだよ!うん!


んで、海じゃなくて普通に町を散歩?して

いつもの町より人が多かったのな?


白い砂浜と綺麗な青い海があるが

近くに観光地みたいなのも無いし

地元の人くらいしかいない普通の町。


そんな町では普段は見かけないような

若い男女がちらほらスマホを片手に

何かを探しているようだった。


特に話題になったゲームをしているわけ

ではなさそうだったので、彼らの会話に

聞き耳を立てていた。



『おい、本当にいるのかよ』

『いるって噂なんだよ』

『あのセイレーンのスズちゃんが?』

『会えたらやばくね!?』



セイレーン…セイレーン…。

あぁ、柑奈が言ってたバンドか

そのバンドのメンバーがここに…ねぇ。

そう言えば何も調べてなかったと思い

インターネットで検索をかける。


するとそれぞれの楽器を持ち

青を基調としたフリルやパール

オーガンジーをふんだんに使った

衣装を身にまとった

5人のガールズバンドが出てきた。


そしてその真ん中に立つ

マイクを片手に持ちこちらを見つめる姿に

確かな見覚えがあった。

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