あの緑髪のさっきのナンパ野郎だ!
ていうかこの子、あのナンパ野郎のきょうだい?!
優翔はぱちっと瞬きすると、きょろきょろとする。
そして、ふるふる首を振ってから目に涙を溜めた。
さっきこの子の兄いたよね?
…え? この一瞬で? 嘘でしょ?
私、知らないんですけどー!
どうすんのこの子! ていうかさ、
本当に中学生なの?! 背ひっく!150もないじゃん!
わーーーっ! 私どーすんのよ!
しっかりしろよ木庭家長女!
(ぶっちゃけ長女とか関係ないけどw
神経が一瞬、金属で逆撫でされるような感覚。
ビリビリと背中が痛い。 ………だれ?
緑色の本を片手に、ニヤニヤと笑う白髪の少女。
制服は私と同じだけどー… …見たことないよ?
結由さんの目の前に、優翔くんがザッと歩み寄る。
そして。
ーパシンッ。
彼女の持っていた本を、叩き落とした。
いきなり本をはたき落とされた結由さんは、
顔を真っ赤にしてふるふる震えている。
私は思わずそう叫んだ。
だって! だってさ!
いきなり人の本叩く?! ダメでしょ! 超失礼!
ほーら!怒らせた!終わった………人生終わった!
実はー……、 その本……。
結由さんはあからさまに態度を変えた。
あとは、信じてくれるか……。
そう言って、ぺらぺらと「深緑のアーティスト」の
あらすじを連ねる。
私が書いたそのままに。さらに固まる結由さん。
ぶ、無礼?! そこまで好きなの?! 私の本!
嬉しいんだけどー♡
持っていたボールペンで彼女の本に「SATSUKI」と
書く。結由さんの顔が綻び、さらにはにかむ。
いや、そこまで愛されてるとはー…。
……すると。
優翔くんが私の手を掴み、指で空に円を描いた。
すると、そこに空間を切り取ったような……
……穴がすっぽりと開く。そして、そこに飛び込む。
…気がつくと、少し離れた道路上にいた。
ファンから批評もらいたかったのにー!
……そこまできて、ふと、疑問を口にする。
なんなら、結由さんよりも。
あ、やっぱり!でしょうね!
ブレザー着ているからごまかせてるけれど、
その背の低さは流石に中学生男子じゃー……
男じゃ、ない?
ーとんでもない秘密に、頭を殴られた気がした。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。