第22話

春の風:ini
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2026/03/12 01:00 更新

▫️注意▫️

ini視点のお話、超短編です。











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大学の卒業を控えた3月。

夜、眠る前にふと思う。
もうすぐこの学生生活が終わってしまう、と。




四年間通った大学・・・
そして三年間、密かに想い続けた人。




大学の図書館で働く年上の女性で、本を借りたり勉強をしたりと行く度に少しだけ話す。


それだけの関係だった。




彼女からしてみれば、自分はただの学生。



卒業すればこの想いも、そっと音を立てずに終わる。





そう思っていた。












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式が終わり、これで最後と図書館へ足を運ぶ。





彼女はいつものようにカウンターにいる。

俺が来たことに気付くとスーツの胸ポケットに添えられている花にそっと目をやると


あなた
卒業、おめでとう


柔らかく言葉をかけてくれた。



ini
・・・ありがとうございます



あなた
もう来なくなるんだね


その言葉が胸に刺さる。



少し突き放されているような、そんな気がして何だか悔しかった。
もうこれが最後なら言ってしまってもいいんじゃないかなんて、思ってしまうくらいに。






幸い、図書館には俺とあなたさんしかいない。











ini
・・・ずっと、好きでした



あなたさんは少し驚いた顔をしたけれど、すぐにくすりと小さく笑う。




あなた
“でした”なんだ


俺は言葉に詰まった。

勢いで言ってしまったから、この後の事をそこまで考えていなかったから。





するとあなたさんは、口元に小さないたずらな笑みを浮かべて言う。



あなた
社会人になるんでしょ?


俺は眉間に影を落としながら、ゆっくりと頷いた。




あなた
春から学生じゃなくなるね



少しだけ空いた窓から吹き込んだ風が、彼女の髪をふわりとなびかせる。


その光景に、思わず息をのんでしまう。




あなた
それなら、今度は対等かな?



その言葉の意味を理解しようと首を傾げ考える。



ini
えっ、と・・・
あなた
乾くんは勉強は出来ても、こういうのには鈍いんだね?
ini
なんすか、それ


からかわれているようで悔しくて唇を噛むと、彼女はますます楽しそうに笑った。






あなた
・・・私、そろそろ帰る時間だけど
あなた
待っててくれるなら、卒業祝いにご飯でもごちそうしちゃおうかな?



そう言うあなたさんの頬はほのかに色付いている気がした。


ini
あっ・・・










俺は言葉の意味をやっと理解できた。



















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