そう言って私は泣き腫らした
目の痛みを我慢しながらとぼとぼと歩き出した。
その日は晴天で、雲ひとつ無いいい天気だった。
少し遠くで鳴る蝉の声。道路を通る虫たち。
眩しい夏の日差しに合わない複雑な気持ち。
私は子供の頃花とよく遊んでいた
公園に向かうことにした。
悩みがある時はよくその場所にいって、
悩んでた思い出の場所。
その公園はいい感じに林が多くて夏でも
涼しかった思い出がある。
私はベンチへと腰を下ろしゆっくりと
時が過ぎるのを待っていた。
そう言って春樹くんは私の隣に
不機嫌そうに座り込んだ
まぁ、元々どっちも第一印象が悪かったせいで
話すことも無いよな。
そう思っていると春樹くんが口を開き出した。
私は今まで胸の内に隠していた感情を
ぶつける様に大きな声で話した。
春樹はいきなり大きい声を出したせいか
呆気に取られている。
泣き止んだはずなのに私の目は
まだ、泣き足りないみたいだ。
今まで我慢していた分を取り返すように
わんわん泣いた。
春樹は気まづそうにしながらも私の目を
しっかりと見て言った。
そんな事有り得ないと思うけど
今はなんだかその言葉に救われた気がした。
前言撤回。
春樹の言葉には救われないようだ。
そういう好きじゃ無いんだよ!
私はため息をついて春樹から
逃げるように走った。
春樹は怒っていたけど何だかとても面白かった
その時見た夏の景色はこれからも
忘れないと誓えるくらいに美しかった。
花に分かって貰えなくとも良いから
好きを伝えてみようかな。
第5話 終わり
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。