第4話

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2020/04/08 13:36
ツリメ
ツリメ
ふぅ
無事動画を上げられた。
画面の中の俺らは自分たちでも自分じゃないと思うほど暗くて、
ガチャッ
誰もいない部屋。今日もやっぱり眠れない。
ツリメ
ツリメ
はぁ…
まだかすかに匂いが残ってる。
この匂いがなくなってしまったら彼の匂いを忘れてしまうんだろうか。
目を閉じるとタイピング音が遠くから聞こえているような感じがして、まるで目の前で彼が編集をしているような、夢の中だけでもいいからそうであっていて欲しかった。
彼は俺には早く寝ろっていうのに自分は全然寝ない人だった。朝方まで起きてるのなんて普通だった。
エイジ
エイジ
カチカチ
ツリメ
ツリメ
えいちゃん入るよ?
エイジ
エイジ
ツリメ
ツリメ
えいちゃん?
ツリメ
ツリメ
えいちゃんー
エイジ
エイジ
あ、あぁみっくんまだ起きてたの?
ツリメ
ツリメ
こっちのセリフだよ、何してるの
エイジ
エイジ
動画のストックをね、ためとかなきゃいけないから
ツリメ
ツリメ
(昨日まだいっぱいあるっていったじゃん…)
エイジ
エイジ
みっくんはもう寝な
ツリメ
ツリメ
俺も手伝う
エイジ
エイジ
もう終わるから
ツリメ
ツリメ
…じゃあ、おやすみ
エイジ
エイジ
おやすみー
いつも動画のストックがあるのは彼が頑張ってたからで、当たり前の事じゃなかったんだね。

あの日だって本当はストックなんてなかったのかもしれない。俺を寝かせた後もまだリビングの電気は光り続けていた。
やっぱり君は全然寝ないからさ、
そっちでも泣いて寝てないって思うと俺も泣けないんだよ。
えいちゃんがいなくなったのに何故か声を上げて泣くことが出来ないんだ。
亡くなった報告を受けた時もお葬式もお別れ会も1度も…彼に聞こえないようにバレないように静かにこらえるしかなかった。
そして今日も彼のベットにはいって眠りにつく。
ツリメ
ツリメ
おやすみ、えいちゃん。
いつも全然寝ないんだからちゃんと寝るんだよ。

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