前回のアンケート↓

時系列的には、館大改造の数日前です。
この後です
おらふくんside
おんりーが渡した破片を持って、ドズルさんたちは玄関をくぐった。
パタン、と扉がしまる音が聞こえる。
ポツリと呟く。
包帯を付け替えようとしてくれていた時、古い包帯を見て一瞬硬直していた。
どうしたんだろう。何かあったんだろうか。
考え事に浸っていると、MENが声をかけてくる。
慌てて顔を上げると、横にはおんりーもいた。
楽しそうな響きに、思わず声が弾む。
聞いたことない単語に、首を傾げる。
淡々と説明しながらも、微妙に口元が緩んでいるおんりー。ツルハシを握り直し、ニヤリと笑うMEN。
あんなに強いこの2人が楽しそうな表情をするってことは、きっとすっっごく楽しいんだろうな。
行ってみたい。
2人が感じてる面白さを、僕も体感したい!!
ドズルさんたちの予定に合わせられないのには理由がある。
今回のお出かけは、僕のリハビリも兼ねてるからだ。
館を建て替える時はあまり動かなくていいようみんなが配慮してくれてたからよかったけど、
そろそろ僕もみんなみたいに走り回りたい。
傷も塞がってきてるしね。
早めに運動に慣れておいた方がいいってドズルさんも言ってたし!
あぁ、楽しみだな。
3人でお出かけ!!
窓から差し込む、白い光。
そっと目を開けると、あたりはすっかり明るくなっていた。
新しい館になってから全部屋についている時計で、現在時刻を確認。
集合時間は、日の出の時刻。
そーっと窓を振り返ると、太陽は元気に僕を照りつけた。
うそ、よな…??
何度かほっぺをつねってみるが、普通に痛い。
ということは、これは現実。
寝起きだから少し掠れ、上擦った僕の叫び声が、館中に響き渡った。
慌ててリビングへ向かうと、足音で気付いたのか、2人は声をかける前に振り返った。
呆れたような優しい笑みで見つめられ、さらに申し訳なくなる。
2人して、僕が気にしないように声をかけてくれている。
なんて優しいんだろう。
せっかく楽しみにしてた冒険。
ちょーっと寝過ぎたおかげか、体調もいつもより万全だ。
行かないという選択肢はない。
僕は開き直って宣言し、玄関へ走る。
後ろで2人がくすっと笑った気配がしたが、僕は振り返らなかった。
館から近い森を歩きながら、僕は問いかける。
前に更地にした森だ。もう木が生えてきている。
やっぱ植物の成長って早いんやなぁ〜。
脳内でハテナが暴れ回っている。よくわからない。
MENから受け取った水バケツを持って、おんりーはマグマに向かって歩いていく。
土を置いて水を入れると、マグマが黒い石みたいなのに変化した。
……何?何これ!?
僕が考えてることをある程度察したのか、MENが教えてくれた。
黒曜石………綺麗だなぁ〜
そう呑気に考えていると、おんりーが動き出した。
目に負えないほどの動きでマグマと水を組み換え、まさにゲートのようなものを作っていく。
僕がぼーっと見ている間に、全てが完了してしまった。
おんりーから水バケツを受け取って、僕は軽い足取りでマグマの方へ寄って行った。
数分後。
僕が5個目のゲートを完成させると、食料調達に行っていたMENが帰ってきた。
おんりーの声に笑顔で返しながら、また水バケツを握る。
最初よりは、だいぶ早く作れるようになったと思う。
名指しされるとは思っていなかったのか、食糧配布が終わった彼の目が見開かれたのがゴーグル越しに見えた。
あ、MENのスイッチ入った。
僕から水バケツを力強く受け取り、ズカズカと残っているマグマの方へ歩いていく。
そして、僕より圧倒的に速いスピードで作り上げてみせた。
真顔のおんりーからの相槌が刺さったようで、少し顔を背けた。
MENの肩をポンと叩きながら、僕はバケツを見つめた。
おんりーの右手には火打石と打ち金。
いつのまにか砂利から火打石を取っていたらしい。
食い気味に答えると、初めからわかっていたとしか思えないスピードで、最寄りのゲートに火がつけられた。
ゲートから紫色のもやもやが出てきて、思わず一歩下がる。
2人の方を見ると、平然とした顔でどんどんゲートに近づいていく。
2人がこちらへ手を差し伸べる。
その手を見てから、僕はやっと今自分が行こうとしている場所について本当はどういうことが起きるのか、初めてまともに考え始めた。
今まではただ、楽しみだなんて、気楽なことばかり考えていた。
でも、いざ目の前に来たら、そんなの全部ただの逃げだったんだって分かった。
ここから先は未知数だ。何があるかわからない。
もしかしたら、死んでしまうかもしれない。ネザーの敵って強いらしいし。
………こわい。
思わず僕は、さらにもう一歩後ずさってしまった。
なんでだろう。今まで怖くなかったのに、なんなら楽しみだったのに。
ちゃんと現実として考えた瞬間に、足が震えて、頭の中が真っ白になった。
僕はもう、一歩も動けない。
その声で、はっと顔をあげる。
2人は笑っていた。
頼もしくて温かい、僕が大好きな笑顔。
恐怖を一瞬で包み込んで温かく溶かしてくれるような、安心する笑顔。
まだ、ちょっと怖い。
でも、この2人と一緒なら。
大丈夫な気がする。どこまでも行ける気がする。
体の震えが、硬直が。僕の動きを止めていたものはふっと止まり、足が動かせるようになる。
2人に笑い返し、僕は一歩踏み込む。
差し出された双方の手に自分の手をそっと滑り込ませると、優しく握ってくれた。
2人の手は、温かかった。

ここから雑談↓













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。