第15話

監督生です。モストロ・ラウンジに行きます
513
2022/02/23 06:38
フロイド
フロイド
ねーねー小エビちゃん!今日ヒマ?ヒマだよね?
フロイド
フロイド
今日さ、オレラウンジのシフトあるから覗きに来てよ!そしたらオレやる気出るかもぉ!
(なまえ)
あなた
いやちょっと待ってください。まず何で僕は暇な事になってるんですか?
(なまえ)
あなた
それとラウンジって何ですか…?
1人と1匹の生活にも慣れてきたある日の事。
あなたがいつものように廊下を歩いていたら、厄介な人物に捕まってしまった。
フロイド
フロイド
あれっ?小エビちゃん、モストロ・ラウンジに来た事なかったっけ?
(なまえ)
あなた
ありませんけど…?
フロイド
フロイド
モストロ・ラウンジってのはね、アズールが経営してるラウンジの事なんだ!オレ達の寮にあってさ、美味しい料理いっぱいあるよ!
はぁ…とあなたは至極興味がなさそうに相槌を打っていたが、美味しい料理、と聞いてあなたの肩に乗るグリムが黙っているはずがなかった。
グリム
グリム
ふなっ!?それって、本当なのか!?
フロイド
フロイド
もっちろん!小エビちゃんならちょっとサービスしてあげるからさ、来てよ!
グリム
グリム
よし!今日の放課後はそのなんちゃらラウンジに行くんだゾ!ついてこい、子分!
(なまえ)
あなた
僕に拒否権はないんですか…?
そう言いながらも、この1人と1匹、特にフロイドに逆らうとロクな事がないのは分かっているので、あなたは渋々ながらも行く事にした。
──────────────────────
そして夜7時。ちょうどモストロ・ラウンジがオープンする時間に、あなたはその入り口に立っていた。
すると、「モストロ・ラウンジへようこそぉ。」という間延びした声と共に、カランカランと音を立てながら扉が開けられる。
フロイド
フロイド
…って、小エビちゃんじゃあん!ちゃんと来てくれたんだぁ♡
グリム
グリム
おう!オレ様がきちんと連れてきてやったんだゾ!
フロイド
フロイド
そっか。じゃあアザラシちゃんにはごほーびいっぱいあげなきゃねぇ。
ご褒美、と聞いて耳をピンと立て目を輝かせるグリムを単純な狸だなぁ、と思いながらあなたはフロイドに案内されて店内に入る。
店内はぐるりと水槽で囲まれていて、その中を多種多様な魚が泳いでいる。
間接照明で照らされるテーブルやソファはお洒落で、そしてそれなりに値が張る物だというのも一目で分かった。
会話を邪魔しない程度の音量で流れるジャズを聴きながら、あなたはほうとため息を漏らした。
(なまえ)
あなた
あのアズールさんが作ったにしてはかなり良い雰囲気のお店じゃあないですか。
フロイド
フロイド
アズールが作ったにしてはって…小エビちゃん、めっちゃ言うじゃん。
だってアズールさんって趣味悪そうですし…という言葉が喉元まで出かかって、でもギリギリの所で飲み込んだ。
そして「何の話ですかね…?」ととぼけてみせればフロイドはじとっとした目付きであなたを見た。
と、そこでバタバタとオクタヴィネル寮生がこちらに駆け寄ってきた。
モブ
あっ、ここにいたんですね、フロイドさん!
モブ
アズールさんとジェイドさんが呼んでますよ!
フロイド
フロイド
え~?今いいトコなのにぃ…。
(なまえ)
あなた
あっ、僕はどうやらお邪魔なようですね…適当な席に座って待ってますよ。グリムも暴れそうですし。
今がチャンスだ、と思いあなたはそう言いながら残念がるフロイドから少しずつ距離を取る。
しかしそんなあなたをフロイドが逃がすわけがなく、ガシッと手首を掴まれた。
フロイド
フロイド
ん?何言ってんの、小エビちゃん?小エビちゃんも一緒に来るんだよ?
(なまえ)
あなた
…えっ?
(なまえ)
あなた
いや…ほら、僕は部外者ですから!?そんな、混ざるわけには…っ!
あなたはそう言いながらフロイドの手を振り払おうとするけれど、やはり力の差が大きくずるずると引っ張られてしまう。
魔法を使えばもちろん一瞬で逃げられるのだが、ここでは他の人の目があるし、もしここで逃げたらフロイドを呼びに来た寮生さんが可哀想な事になるのは目に見えているので、諦めてついて行った。
バァン!と大きな音を立てながらフロイドは扉を開けズカズカと中に入っていく。
扉に掲げられた「VIPルーム」という札を思い出しこんな態度で入って良い部屋なのだろうか、と思いながらあなたは「失礼します…。」とフロイドの後に続いた。
アズール
アズール
やっと来ましたか、フロイド…。
ジェイド
ジェイド
遅かったですよ…。
そこにはげっそりとした顔のアズールとジェイド、そして青地に黒いラインの入ったリボンを腕に付けた生徒が1人。
(なまえ)
あなた
(あのリボンは…確かイグニハイド寮のものでしたよね…。)
フロイド
フロイド
どーしたのさ、2人共…。えっと、そこにいるのは“オキャクサマ”?
フロイドは普段中々見ない様子の2人を見てから、視線をソファに落ち着きなさそうに腰掛けるイグニハイド寮生へと移した。
モブ
はっ、はい!僕はアズール様と契約したくて来たんです!!
フロイド
フロイド
アズール“様”…?
モブ
あの、僕、アズール様の大ファンでして…!あっもちろんフロイド様もジェイド様も大好きですよ!!
(なまえ)
あなた
(えっこのいかにも性格が悪そうな人達のファンなんですか…?物好きっていうのはどの世界にもいるんですね…。)
フロイド
フロイド
…で、小魚ちゃんはどんな契約しに来たのぉ?
あなたはともかく、フロイドにまで彼は引かれているけれど、それを気にせず彼は続ける。
モブ
はうっ…フロイド様に小魚ちゃんって言われた…もう僕死んでもいいや…。
モブ
…じゃなくて。
モブ
僕のユニーク魔法をお譲りするので、どうかアズール様達にこれを着ていただきたいのですっ!
そう言いイグニハイド寮生は腰を直角に折り両手で持った紙袋を差し出した。
フロイド
フロイド
ん~?何これ?
フロイドは首を傾げながらそれを受け取る。
中身に興味があるあなたもすすっとフロイドに近づき中を見ようとする。
アズール
アズール
ふっ、フロイドっ!!それは見ない方がいいです…っ!
ジェイド
ジェイド
何もフロイドまでが犠牲になる必要は無いんですよ…っ!!
しかしなぜかそれをアズールとジェイドが必死に止めようとしてくる。
でもそんな言葉でフロイドが止まるはずもなく、むしろワクワクしながら袋を開けた。
そしてフロイドとあなたは一緒に袋の中を覗き込んだ。
フロイド
フロイド
…ってえ?何これ…?
(なまえ)
あなた
これは…確か、メイド服、という物でしたっけ…?
あなたは日本にいた時の記憶を引っ張り出しその名前を言い当てると、失礼しますね、と袋の中身を取り出しバサッと広げた。
紺色のワンピースに、やたらとフリフリヒラヒラした白いエプロン。
一体誰がこんな服を好き好んで着るのだろう…とあなたがそれを眺めている横で、フロイドは顔を青くしていた。
フロイド
フロイド
え…?これを?オレらが?着るの??
モブ
はい!もし着てくださるのならユニーク魔法だろうが何だろうが差し出します!
フロイド
フロイド
…まじで…?
アズール
アズール
そうなるから見ない方が良いと言ったんですよ…。
どうやらアズールとジェイドはこの服にメンタルをやられたらしい。
確かにこんな服を着ろと言われたら気も滅入るでしょうね…とあなたが他人事のように考えていたら、フロイドが「あっ」と声を上げた。
フロイド
フロイド
でもさ…これってサイズ合わなくね?
意味深な笑みを浮かべチラッとこちらを見たフロイドに、あなたは嫌な予感を覚える。
フロイド
フロイド
アズールでもこのサイズじゃ入んないでしょ。このサイズで着れるのって…。
(なまえ)
あなた
(えっちょっと待ってください何でこっち見るんですかえっ?)
(なまえ)
あなた
(いや本当に嫌な予感しかしないんですけど…?)
あなたは暑くもないのに汗が一筋背中を伝っていくのを感じながら、フロイドの視線から逃れるように顔を逸らす。
しかしそんな事をした所で意味など全くなく。




















フロイド
フロイド
…小エビちゃんぐらいだよねぇ。
予想通りの言葉にあなたは完全に固まった。
モブ
えっと…小エビちゃんって、そこの方ですか…?
フロイド
フロイド
うん。どぉ?似合いそうじゃね?
モブ
う~ん…確かに似合いそうではありますけど…。
(なまえ)
あなた
えっいやちょっと待ってください僕にはそんなフリフリは似合いまs
フロイド
フロイド
ちょっと黙ろっかぁ♡
あなたは反論しようとするけれどフロイドに口を塞がれ何も言えなくなる。
フロイド
フロイド
…で、小魚ちゃん。小エビちゃんのメイド服で許してくれないかなぁ?寮服着たオレらの写真なら撮らせてあげるし何ならツーショットでもいいから、さ?
モブ
…分かりました。望みすぎもいけませんものね。
モブ
その条件で契約しますっ!
その言葉を聞いた瞬間、アズールが生き返った。
バッと顔を上げるといつもの営業スマイルを浮かべマジカルペンを振るう。
アズール
アズール
よし!それでは早速契約しましょう!
アズール
アズール
貴方の望みを何でも叶えましょう 対価の支払いはお忘れなく “黄金の契約書イッツ・ア・ディール!”
(なまえ)
あなた
んん゛ー!?んんん゛んん゛ー!?ちょっと!?僕の意見は無視ですか!?
キラリとアズールのマジカルペンが輝き2枚の金色の紙が現れる。
あなたの悲痛な叫びはフロイドの大きな手に吸い込まれていきイグニハイド寮生に気付いてもらえる事はなかった。
モブ
はわわ…これが噂の契約書…!
アズールは手慣れた様子で2枚の契約書にサインすると、くるりと紙を回しペンと共に感動している彼の前に差し出した。
アズール
アズール
ここにサインしていただければ契約は完了ですので。
モブ
はいっ!…うわぁアズール様のサインだぁ…カッコいい…美しい…。
フロイド
フロイド
はぁい小エビちゃん、暴れちゃダメだよぉ?
(なまえ)
あなた
ん゛っ!んんん゛ん゛ー!!痛っ!ちょ骨折れますってー!!
あなたはフロイドに締められ何もできない状態で生徒がサインする所を見る事しかできない。
今すぐにでも魔法を使ってあれを止めたいけれど魔法を使えないのがもどかしくて、あなたは唇を噛み締めた。
モブ
…よし、出来ました!
アズール
アズール
ありがとうございます。こちらはあなたが持っておいてください。
アズールは2枚の契約書の内1枚を受け取ると金庫に大事にしまった。
そしてくるりと振り返ると、ニヤリと笑う。
アズール
アズール
…さぁ、あなたさん。お着替えの時間ですよ。
(なまえ)
あなた
はぁ…。後で覚えておいてくださいね?
*     *     *



どうも、『神っぽいな』聴きながら書いてます、カイです。
えー、今回長くなったのにストーリーほとんど進展してませんね、すみません…。
いや、気が付いたらこんなに長くなってたんですよ…(?)
あっちなみにアズールのユニ魔の詠唱は完全に捏造してますセンスないのには目をつむってください()
さて、お察しの通り次回はメイド服回になります。
こういうのって好き嫌い分かれますけど好きな人と嫌いな人、どっちが多いんでしょうか…。
今後の参考にもしたいのでぜひコメントで教えてくだs(((
それではまた次の話で。バイバイッ。

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