第9話

後の鋼鉄と穢れた運
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2025/06/04 15:23 更新
NOside
「松渕憲史が死にました」
この言葉で、彼に救われた後の鋼鉄はなんと思っただろう。
彼の目の前には満面の笑みの大きな憲史の写真。周りには沢山の花が捧げられている。
憲史の両親に貸して貰った子供用スーツを来て、彼の両親と共に憲史の死を悲しんだ。
ぐすっ…憲史……憲史……!!
くっ……うぅ……クソォッ……
戸狩玄弥
………ぐすっ
彼は人が良かった。誰にでも優しかった。やられたらやり返すというどこか凶暴性を含みながらも、自分の大切な人には何があってもそばに居る、身内を大切にできる人だった。
おばあちゃん
ッ………アンタのせいや!!!アンタが全部やったんやろ!?
そう言うのは彼の祖母だった。祖母は戸狩に指を指す。
おばあちゃん
アンタが赤森の生まれのせいでッ……アンタがあの子に不幸を移したんや!!やからあの子は死によったんや!!!!!
清々しい程の責任転換。戸狩はフリーズした。
そこに憲史の両親が反発する。
違うわ!!玄弥くんは憲史の友達や!!!憲史の友達を悪く言ったら許さへんで!!
おばあちゃん
なんや!!お母さんに反発するんか!?誰がアンタをここまで育ててやったと思っとるんや!!
そんなん関係ないわ!!!アンタは玄弥くんを悪く言った!!それだけが問題や!!!!
おじいちゃん
ば、ばあさん……それくらいにしとこうや……
おばあちゃん
嫌や!!私の可愛い初孫をそこのクソガキに殺されたんやで!?
クソガキじゃないですよ!!!!!
戸狩玄弥
……………
戸狩が幼い頭を必死に巡らせる。
それで気付いてしまった。赤森地区は差別される地域だと。憲史はそんな自分を気遣って一緒に居てくれたんだと。
戸狩は泣きそうになった。
その時、思い出したのは憲史があの時言ってくれた言葉。
『差別するヤツらに負けたらダメだ。人間ってのはな、生まれてきた時点で平等なんだ。性善説とか、性悪説とかあるけど、関係ないんだ』
『だからな……そういう奴にどつかれたら、どつき返せ!!』
戸狩玄弥
……………む、無理だよ……できないよ……
戸狩はまだ子供だった。だからできなかったのだ。
弱いとか、逆らう気力がないとか、そういうのではなく、もしここで反発してしまえば、憲史に怒りの矛先が向かうかもしれないと思ったからだ。










葬式が終わった後、戸狩は彼の両親に感謝を告げて行方を眩ませた。










その後、彼はまたゴミ捨て場から食物を探す日々を送る。










戸狩の母は……帰っていない。










あとはもう、私達の知っている通りだ。

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