《☆イニ☆side》
いつもじん、じんって俺を呼んで
かまってって言ってくる彼女、あなた。
それがいつも可愛くて
つい意地悪して、iPhoneを触る。
…の、はずなんだけど今日は。
『いいの?え、やったあ、絶対いく!!』
さっきから誰と電話をしてるのか
ずっとずっと喋ってる。
…今日も待ってるんだけどなあ?
それから、何分も何分も
ずっと家でじっとあなたの言葉を待つ。
『本当に??もう優しすぎwww』
こんな長電話する人いる?
そろそろ、拗ねてきちゃってさ。
じ「ねぇ、それ、誰?」
突き放すような口調で言ってしまう。
『え、あ、私?これテオくん!!』
全然俺の気持ちに気づいてないみたいで
それが何故か余計にむかついて。
__ブチッ、
『え、ちょ、じん』
じ「何?」
『いや、話してたん、だけど』
俺は態度悪くしてるつもりないのに
あなたは怒ってるように見えたようで
それ以上は何も言わなくなった。
『…ごめん、ね?』
ぽつりと呟く。
じ「なんでそんなに話してたの?」
『…じん、が』
言いにくそうに口を開くあなた。
『…いつも、かまってくれない、から』
『…だから、ごめんなさい、』
なんだ、そんなこと。
そろそろ意地悪して
楽しんでるって察してると思ってたけど
やっぱりあなたは鈍感で。
じ「…もう、しない?」
顔を近づけて言った。
キスをされると思ったのか
ぎゅっと目をつぶるあなた。
今日はしてあげない。
って、そう思ったけど。
え?って顔で下から見つめて来るから。
じ「…ごめん、無理、」
今日は多分、寝かせられない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。