第12話

拾弐
685
2019/07/25 14:29
私が女の子にペンダントを返してスマホをポケットにしまった瞬間、誰かに肩を叩かれた。
鳥羽 蛍
!?
私は恐る恐る後ろを振り向く。
シシビ
トバホタル、ステージクリア!お疲れ様です!
私の後ろには、いつも通りにニコニコと笑うシシビがいた。
鳥羽 蛍
ステージクリア‥‥‥?あれ?私、ペンダント盗めなかったよね‥‥?
するとシシビは、しゃがんでから私の隣にいる女の子の頭を撫で始める。
シシビ
ミッション・・・・・クリアじゃなくて、ステージ・・・・クリアです。貴方の優しさが助かりたいという欲望に勝ったので!
シシビ
だって僕、ミッションを与えるとしか言ってないでしょう?
シシビは不適に笑う。


─────ミッションを与えるとしか言ってない。

つまり、“ミッションをクリアしろ”とは言っていないのだ。
鳥羽 蛍
ずるいでしょ‥‥‥
シシビ
ずるくて何が悪いんです?
鳥羽 蛍
何が悪いって言われても‥‥‥‥
シシビ
まぁまぁ、ステージクリアしたんですから良いじゃないですか
それはそうだけど‥‥‥‥あと一歩間違えてたらステージクリアできずに死んでたかもしれなかったのだ。
鳥羽 蛍
‥‥‥参加者ゲーマーの生存率は?
私はシシビの黄金の瞳を見つめながら参加者ゲーマーの生存率を問いかけた。

すると、シシビはにんまりと笑って答えた。
シシビ
いちパーセント
鳥羽 蛍
‥‥‥‥え?
シシビ
最初は肆阡よんせん人で、そこから半分減って弐阡にせん人。弐阡人の壱パーセント‥‥‥つまり、生き残ったのは弐拾にじゅう人ですね!
シシビ
阡玖陌捌拾せんきゅうひゃくはちじゅう人はゲームオーバー!失格者は全員死亡です!
そんなに死んで‥‥‥‥
シシビ
人間は欲望の塊ですから。これだけ死ぬのは当然ですね!
だからと言って殺してしまうのはおかしい。
シシビを含めて、運営は本当にどうかしている。
シシビ
さぁ、次の裁きゲームの為に移動しましょう!
はたして、これは裁きゲームと言っていいのだろうか。

いくら参加者ゲーマーたちが罪を犯していたとしても、人殺しとかそんな感じには見えなかったし‥‥‥‥。
シシビ
早く着いてきて下さい、トバホタル
気付いたら、シシビは私の前を歩いていた。
鳥羽 蛍
‥‥‥
私は女の子を放っておいて良いのか心配だったが、シシビがそれを見かねて足を止めた。
シシビ
大丈夫。その女の子、幽霊ですから。君のお陰で近い内に成仏しますよ
鳥羽 蛍
幽霊!?
私は驚いて、女の子を見つめると女の子はにこっと笑った。
女の子
ありがとう。おねぇちゃん
女の子はそれだけ言って、暗闇の奥へ歩いて行った。
シシビ
ほら、もう心配はないでしょう?早く着いてきて下さい!
シシビに従うのはシシビの思い通りになっている気がして嫌気がさすが、ここは素直に従うことにした。
鳥羽 蛍
はぁ‥‥‥
私は溜息を一つ吐いて、前を歩くシシビを追いかけた。

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