私が女の子にペンダントを返してスマホをポケットにしまった瞬間、誰かに肩を叩かれた。
私は恐る恐る後ろを振り向く。
私の後ろには、いつも通りにニコニコと笑うシシビがいた。
するとシシビは、しゃがんでから私の隣にいる女の子の頭を撫で始める。
シシビは不適に笑う。
─────ミッションを与えるとしか言ってない。
つまり、“ミッションをクリアしろ”とは言っていないのだ。
それはそうだけど‥‥‥‥あと一歩間違えてたらステージクリアできずに死んでたかもしれなかったのだ。
私はシシビの黄金の瞳を見つめながら参加者の生存率を問いかけた。
すると、シシビはにんまりと笑って答えた。
そんなに死んで‥‥‥‥
だからと言って殺してしまうのはおかしい。
シシビを含めて、運営は本当にどうかしている。
はたして、これは裁きと言っていいのだろうか。
いくら参加者たちが罪を犯していたとしても、人殺しとかそんな感じには見えなかったし‥‥‥‥。
気付いたら、シシビは私の前を歩いていた。
私は女の子を放っておいて良いのか心配だったが、シシビがそれを見かねて足を止めた。
私は驚いて、女の子を見つめると女の子はにこっと笑った。
女の子はそれだけ言って、暗闇の奥へ歩いて行った。
シシビに従うのはシシビの思い通りになっている気がして嫌気がさすが、ここは素直に従うことにした。
私は溜息を一つ吐いて、前を歩くシシビを追いかけた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。