第15話

イヤモニが白色の理由⑮
3,112
2020/09/20 12:56
濵田side
〜現在編〜
次の日の朝。
今日もみんなで仕事が朝からあり
俺は朝コンビニに寄りたくてマネージャーの
迎えを昨日のうちに断っていた。

そして準備も整って家の近くのコンビニに向かい
望に頼まれていたジュースとお菓子を籠に入れると
ふとパンコーナーに目をやった。
濵田崇裕
濵田崇裕
…好きやったよな?あなた。
そこにはあなたがいつも食べていた
メロンパンが置いてあった。
俺もよくあなたから貰って一緒に食べていた
時があった。

俺もその時からメロンパンが大好きになって
俺もあなたの笑った顔が見たくて
パン屋まで行ってメロンパンを買ってそのまま
レッスン室に向かうことも多々あった。

あなたはもう忘れてるんかな…?
俺は今もなおずっと覚えているこの
可愛いくて戻りたくても戻れない2人の思い出。

俺があなたの好きな物を手に取って
あなたのことを思い出すように
あなたも俺の好きな物を手に取って
俺の事を思い出してるんやろうか…。

近くにいるかもしれない恋しい人には
まだ近づけない俺が居る。

探しているけれど
手がかりがないからとても困る。

横山くんたちに力を借りたりけど
それは男としてちゃうと思う。

好きな女を他の男の力に頼って借りて
見つけるなんて…。




どこにおるんよ…。
俺はずっとここにいて
あなたが見つけやすいように
引っ越したりせずにここに居るのに…。
濵田崇裕
濵田崇裕
…この肩で気づいてくれたらな笑
「たかぁ、また肩撫でてるなぁ?笑」

あの笑顔を見たいって思うのは俺だけ?
またあなたに会いたいって思うのは俺だけ?

空白の8年を埋めたいって思うのは…
やっぱり俺だけなん?
懐かしいメロンパンを置いて
俺は手紙の返事をまだ書けてなかった事に気がついて
慌てて文具が売っているところに行って
ペンと便箋と茶封筒を籠に入れた。

まだ時間があるからと
他のメンバーのジュースも買って
最後につい見てしまう雑誌コーナーに寄った。
その時だった…。
濵田崇裕
濵田崇裕
……なんやこれ。
俺が目にしたのは週刊文春の最新刊で
大きな目出しには
「8年前突然消えた紅一点の今の生活!!」と
堂々と書かれていた。

俺は慌てて籠を置いて週刊文春を手に取って
その見出しのページを探した。
濵田崇裕
濵田崇裕
……っ!?
これや…!!
めくりにめくったページの大きな見出しに
表紙と同じことが書かれている見出しを見つけ
慌てて手でそのページを押え読み出した。

その記事にはあなたの顔は隠されていたが
あなたと小さな子どもが手を繋いで歩いている所と
あなたが働いているところと
横山くんたちと会っているところが載っていた。

記事はあまりにも適当な言葉が並べられており
さらにあなたはもう普通の一般人になったのに
未だにこんなしょうもない事であなたを
付きまとってあなたの邪魔して
迷惑をかけているこの記事を書いた奴に
俺は怒りが込み上げた。
濵田崇裕
濵田崇裕
…なんであなたの邪魔すんねん。
そのまま乱暴に雑誌を置いて
籠をもってレジに向かった。



…どうかこの記事をあなたが読まないで欲しい。

そう祈りながらコンビニを後にした。









早く手紙を書いて俺の居場所を教えたい。

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