烏間にあなたが防衛省の屋上から飛び降りそうだと聞いたE組は車だと移動に時間がかかるので、フリーランニングを使い、最大で出せるスピードで防衛省にやって来た
あなたは目の前にいるE組メンバーに驚きながらも、A組メンバーがいない事で少し心が軽くなる
あなたはギロリと磯貝達を睨みつけるが、誰も怯えたりしない
分かっているのだ、今の彼女の瞳には殺意がない
あなたは俯き、拳をつくり唇を噛んだ
あなたは手を振り払らい、磯貝達に向かって怒鳴る
何度利用されただろうか
何度目の前で人が死んだだろうか
何度も何度も裏切りや嘘を重ねた
寺坂は自分の心臓を親指で指さしながらあなたに怒鳴る
そうだ、全員、全部分かっていたのだ
あなたが任務で沢山人を殺した事も、政府に何度も何度も利用されていた事も
でも、それでもそばにいた、それでも、匿っていた
それはあなただから、あなただからこそ
あなたの力が欲しいわけじゃない、あなたの権力が欲しいわけじゃない、名声やお金も必要ない
彼らにはあなたでなくてはいけないのだ
あなたは笑った、そしてポケットから何かを取り出したかと思うと自分の心臓に向かって掲げるように向けた
そのナイフは対先生用ナイフとよく似ていて、表面は黄色だった
『自分を完全に抹消するための成分を』
あなたはカルマの方を向くと、小悪魔のような笑みでカルマに話しかけた
そして続けて、烏間とイリーナを見た
そして、最後に全員を見る
全員が動けない、いや本能的に動いてはいけないと言っている
動いてしまえば、あなたはナイフを自分の心臓に刺すだろう
あなたは全員にニコッと笑いかけると、最後に前原と磯貝の方を向いた
前原はこれが一番あなたが幸せになれる方法だと思ったのだろう
このままあなたが生きていれば、確実に命を狙われる
そんな苦しい生活よりも、あなたが自分で選んだ道で死んで欲しい
あなたはニコッと笑い、涙を流しながら
ナイフを自分の胸に刺した
あなたの全身が、眩しく、優しく弾けた
光の粒子になって、磯貝達の目の前から消えていった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。